骨折の話

 浦島さん
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=106046&log=20070723
が、骨折の話をしていたので、ワシャも骨折の話をするのじゃ。
 浦島さんの話は奥が深いが、ワシャの話は骨折の話だけだ。

 かれこれ四半世紀も昔のことじゃった。まだ若僧だったワシャは友人とスナックで飲んでいた。カウンターの一番左端、壁際にワシャが陣取る。その右隣に友人が坐った。そこで友人と口論になったのだが、もう何で揉めたのか覚えていない。きっと取るに足らない詰まらないことだったんだろう。
 ともかく友人の言い草にムカッときたワシャは、左手で拳を握り、掌拳で思いきり壁を叩いた。この時に第5指の中手骨が「パキ!」と鳴った。壁は鉄筋コンクリートだったんですな。
 その後、友人との口論も収まり、和気藹々と水割りなんかを飲んでいた。口論は友人が折れてくれたのだが、ワシャの手はだんだんはれてきたのである。気がつけば左手はグローブのようになっているではあ〜りませんか。それでもあのころは若くて野蛮だった。痛かったけどサロンパスかなにかを貼って過ごしてしまったのだ。
 数年が経過して、サッカーの試合中にアクシデントがあり、左手首を痛めた。すぐに病院に行ってレントゲンを撮ってもらったのだが、とりあえず、手首に異常はなかった。やれやれ。
 しかし、医者はレントゲン写真をボールペンで差して、
「あなた、何年か前にここを骨折していますね」
と言う。ボールペンが示している小指の中手骨は、真ん中あたりが盛り上がっていた。
 ワシャはその後、「骨折を自力で直した男」と恐れられるとともに、「骨折に気づかなかった男」としてバカにされたのだった。めでたしめでたし。