夢を買う

 ドリームジャンボ3億円の宣伝が喧しい。新聞紙面でもテレビ画面でも西田敏行が踊っている。
 ワシャはギャンブルをしない。でも宝くじだけはたまに10枚買う。それは半月くらい夢を抱えていたいからである。
 ワシャはサラリーマンだ。ざっと見積もって生涯賃金は3億円である。この額を30数年にわたってひそひそともらう。子どもの教育費、家のローン、日々の生活費に費えて、最終的には大して手元に残りはしない。豪華客船で世界一周の船旅に出掛けたくたって、旅費も捻出できなければ、休みだってとれまへん。『日本史籍協会叢書』200巻が欲しくても手が出ないし、書庫の増築だってままならない。まぁ庶民なんてぇものは、そんなもんでございます。
 だからほんの束の間でも夢を見たいじゃあーりませんか。そんなわけでなけなしの銭をはたいて今回も宝くじを買うのであった。今度こそ当たりそうな気がするのじゃ。