小唄の会

 城下町の岡崎で小唄の会があった。
《雀の子そこのけそこのけお馬が通る鈴の音三度笠振分けじゃ街道の松もほのぼのと〜》
 天守閣が庭の三州灯篭越しに見えるお座敷で、妙齢な小唄のお師匠さんの爪弾く三味の音を肴にして、黒の小袖紋付の芸妓に「あ〜ら、ワーさん、おひとついかが」とかなんとか言われながら、下り物の上等の酒をキューっと一盃乾してごらんなさいよ。でへでへでへ。
「日本男児に生まれてよかったわい!」と思うんでしょうな。

 残念ながら、小唄のお師匠さんは半世紀昔に妙齢だった方で、隣でお酌をしてくれたのは、徳利を握りつぶしそうな剛腕を持つ卓球部のオジさんコーチでしたぞ。トホホ。
 それでも久々に聴く三味線の音色は心地よいものだった。めでたしめでたし。