名所江戸百景

 安藤広重の手になる『名所江戸百景』というシリーズがある。読んで字の如く、江戸の名所を集めた風景版画集であり、安政3年(1856)から5年にかけて出版された。総数は119枚で、江戸の四季折々を花鳥風月あるいは雪雨霧を生かしながら情調的な絵に仕上げている。
 この『名所江戸百景』を解説した本がでた。原信田実『謎解き 広重「江戸百」』(集英社新書)である。ただし、従来の名所の絵としての解説本ではない。「安政東海・南海地震安政江戸地震を経た後の江戸の復興を描いた絵」という観点から分析をしている点で、地震が趣味のワシャには大変興味深い本ですぞ。