書肆にて

 文藝春秋5月号の「新書一点賭け」で日垣隆さんが、矢部正秋『プロ弁護士の思考術』(PHP新書)を薦めていた。もちろん早速e−honで注文しておいたのじゃ。基本的にワシャはネットで注文した書籍を本屋さんに送ってもらい、そこで金を払って受け取ることにしている。昨日は土曜日だったけど、休日出勤だったので、夕方、仕事帰りに、その本をもらうために書店に立ち寄った。
 注文した本は店の一番奥のカウンターにある。だから入口から雑誌コーナーを抜けて真っ直ぐにそこに向かった。雑誌コーナーの前に差し掛かると、ガン!ガン!ガン!ガン!と脳に軽いショックがはしった。気にせずにそのまま通りすぎたのだが、なぜか左手が4冊の雑誌を掴んでいた。『週間司馬遼太郎?U』(朝日新聞社)、『わしズム春号』(小学館)、『歴史を歩く 司馬遼太郎の幕末維新を往く』(新人物往来社)、『男の隠れ家別冊 書斎』(あいであ・らいふ)である。
 残り5メートルほどで奥のカウンターだ。店主は顔見知りなので、ワシャの姿を見つけて笑みを見せている。奥のカウンターの直前に新刊の単行本が並べられていた。ここが最も危険な地雷原だ。ガン!ガン!とまたショックを受けた。佐藤優『国家と神とマルクス』(太陽企画出版)と渡辺淳一『鈍感力』(集英社)を右手が掴んでいた。
 その後もガンガンガンガン刺激を受けたが、運よく両手が塞がっていたので、なんとかカウンターに辿り着くことができたわい。やれやれ。
 店主はワシャの手から6冊の本を受け取り、PHP新書を追加してレジスターを軽快に鳴らしている。
「あ、そうそう、ワルシャワさん、歌舞伎が好きでしたよね」
「好きですよ」
服部幸雄『歌舞伎の原郷−地芝居と都市の芝居小屋−』(吉川弘文館)が入ってますよ」
「嫌!聴きたくない!!」
 ワシャは本を受け取ると耳を押さえて逃げ出したのであった。めでたしめでたし。