春爛漫、覚王山散歩(昼食) その1

 昼食は日泰寺東、姫池通沿いにある「うめだ」という手のべのとんかつが評判の店に入った。図らずも(本当は図ったけど)K先生と同じテーブルになって、いろいろとご教示をいただいた。愛知県選出の方言丸だしの議員が、実は普段は標準語で話すということや、談合問題を、大手と零細を同列で論じる危険性についてとか、世界に散らばっている仏舎利を集めると30キロになるという話など、興味深いものが次から次へとポンポンと飛び出してくる。ううむ、知識人恐るべし。博覧強記を称えると、K先生は「だってこれで飯を食っているんだから」となんの衒いもなく言われた。佐高信に聞かせてやりたいセリフだ。
 手のべとんかつは当たりだった。奥の厨房からドンドンと肉を叩く音が聞こえてくるが、その念入りな叩きのお蔭で繊維が壊れて歯ざわりが滑らかになっている。味噌だれにゴマをかけて辛子と一緒に食べてごらんなさいよ。揚げ物の嫌いなワシャがペロリと完食したくらい美味しいんですぞ。「手のべとんかつ うめだ」と書かれた箸袋を記念にもらっておく。
 話はかなり飛ぶ。そしてちょいと長くなる。
「散歩と雑談」を終え、解散となったのだが、まだ4時である。もう少し情報交換をしましょうということになったのだが、赤提灯には少しばかり時間が早い。
「それなら、ワルシャワさんの好きそうな場所がある」ということで、地下鉄の今池駅西にあるウニタ書店に案内してもらった。ウニタ書店、その存在だけは知っていた。永江朗『不良のための読書術』(筑摩書房)の中で名古屋のヘンな本屋ということで紹介されていたのだ。
 ちなみに「ウニタ」という書店名は、イタリア語で「統一」という意味であり、1924年に創刊されたイタリア共産党の機関紙名である。その名のとおり左系の書店だが、ゴリゴリの左翼という感じでもない。永江さん言うところの《むしろ人文書を社会問題として直結させて立体的に見せている書店》なのである。
 だから、幕藩体制を希求するワシャなのだが、まったく違和感はなかった。むしろ居心地がよかった。
(下に続きます)