夕張を救え

 沈没をしかけている夕張丸からクルーが逃げはじめた。それも幹部クラスが続々とである。船を立て直そうともせずに下船するのは卑怯なようだが、職員たちにも生活があるわけで、一概には責められない。それにしても309人の職員のうち152人が辞めてしまうというのは危機的な状況だ。行政として機能しなくなるだろう。
 さて、夕張を救うにはもう手はないのだろうか。夕張の部長がこう言っている。
「ヒラの職員は自分の職場の仕事以外は知らずタコツボ化している。複数の部署の経験がある管理職が一斉に辞めたら、ほとんどの職員が互いの仕事を理解できない」
 実はそんなことは心配ない。頭の固くなった旧態依然とした管理職など、危機的状況の中では足手まといにこそなれ、推進力にはならないものなのだ。「ヒラの職員」とか「タコツボ化」などという発言をみれば、この部長が部下をバカとしかみられない典型的な公務員であるということが解る。
 まず夕張市程度の自治体で、管理職と一般職の資質にそれほどの差はない。ただ管理職のほうが経験が長いというだけで、その経験も本人が思っているほど大したキャリアではないのだ。むしろこういった自分の貧弱な経験でしかものを言わない大量採用時代の幹部連中がいないほうが危機からの脱出には適しているかもしれない。このタコツボ部長にはさっさと辞めてもらって、後進に道を譲ったほうが夕張のためになるだろう。
 ではどうやって夕張を救うか。新潟県中越地震を思い出してほしい。全国から中越地方に支援物資がどんどん送られてきた。人的な支援もあふれるほどだった。天災と人災の差はあるけれど、夕張市民もいまや命の危機に瀕しているということでは地震の被災者と大きな差はないだろう。そう考えれば国も県も全国の自治体も夕張市を支援するべきなのである。この3月に全国の自治体で大量の退職者が出る。その中には消防士も、1級建築士も、土木技師もいるわい。一番いらない管理職は山ほどいるぞ。こういった連中を全国から行政マンボランティアとして集めればいい。ただボーっと30年を過ごしただけで公務員人生を終え、余生をパチンコ屋で過ごすなら、難破船を救うために一身を投げ打ってごらんなさいよ。人生の充実感が違いますぞ。こういった支援部隊が200人もいれば夕張の再建はなる。全国の退職者よ、高い志を持て。
(下に続きます)