東京散歩を書こうとしたが

 日垣さんのセミナーの会場は、神楽坂善国寺脇の地蔵坂を南に上がったところにあった。江戸のころ、この辺りは御徒組の小屋敷があったところで……
 と、神楽坂界隈の昔の風情などを書きながら、江戸時代の薀蓄もかましつつ1000字ほどサクサクッと書いてしまおうと思ったのだが、場所を「切絵図」で確認したのがよくなかった。尾張屋板の「市ヶ谷牛込絵図」を見ると、日本出版クラブ会館の辺りが旗本の小屋敷になっており、松岡伊予守、上埜善右衛門、高野源左衛門などの名前が書いてある。この旗本たちのことを調べれば面白そうなことが出てくるかもしれない、と思ってしまった。『寛政重修諸家譜』や『江戸幕臣人名事典』(新人物往来社)を引っ張り出してきて調べたんだが上記の侍が出てこないのだ。なんでじゃー!出てこないとなると、こっちも意地だ。絶対に調べてやるどー。
 調べものをすると、時間はあっという間に過ぎ去ってしまうんですな。資料を手にしてから1時間が過ぎ、すでに出勤時間を回ってしまった。資料どもに後ろ髪を引かれながらもダッシュで職場に向かうワルシャワだった。
「I shall return」

 上記からすでに14時間が経過している。ワシャは再び資料の山の中へ戻ってきた。しかし、今は一日の仕事に疲れ、資料と格闘する気力などとうの昔に失せているのだった。やれやれ。