酔っ払い

 飲酒に対する風当たりが強くなっている。飲酒運転をした公務員も新聞記者もみんなクビになった。今朝の新聞にはJR京浜東北線の下り電車の中で酔っ払ったJR東海社員が、非常用ドアコックを回して電車を停めちまった。この社員も懲戒免職だろうね。
 もちろん飲酒運転をするヤツらは大バカ野郎で、そんなのは徹底的に根絶してしまえばいい。酒の勢いを借りて電車を停めるのも言語道断だ。でも敢えて言いたい。飲酒そのものが悪いわけではないのである。
 村上もとか『龍―RON―』(ビッグコミックオリジナル小学館)の中にこんなエピソードがある。
「皇室行事でピリピリしている戦前の京都で、(主人公の龍は、その警護の一翼を担っているわけだが)酔っ払いのオジさんが酔った勢いで「バカヤロー」とか叫んでしまった。それを聞きつけた官憲がそのオジさんをぼこぼこに袋だたきにして、不敬罪でしょっ引いてしまう」というものである。
 このオジさん、酔いにまかせて不敬なことを言ってはいけないのだが、果たしてぼこぼこにされなければならないほどの罪だったのだろうか。

 一昨日の午後10時40分ごろ、千葉県野田市で酔って自転車に乗っていた57歳の会社員が、悪質性が高いとして逮捕された。ニュースでは「泥酔状態で蛇行運転をしていた」とのことで、報道はその氏名まで公表している。
 このニュースを読んで、「おれたちひょうきん族」の鬼瓦権造ビートたけし)を思い出した。太い眉毛に紺のカストロコート、一升瓶を小脇に抱え、ごつい自転車に乗ってスタジオ内を蛇行しながら、「冗談じゃないよ」を連発する。あの酔っぱらいオヤジキャラである。
 
 繰り返すが飲酒運転は絶対にいけない。公共交通機関を酔った勢いで停めてしまうのも大バカ野郎だ。でも、そのことで酔っぱらいすべてが「悪」であるという風潮はどうなんでしょうね。ワシャが酒飲みだからついつい庇ってしまうのだが、新宿のゴールデン街やガードしたで電柱やゴミ箱に向かって説教を垂れているるオジさんなんてかわいいじゃありませんか。それともこの人も往来を妨害したとか理由をつけてしょっ引くのだろうか。