滅びの予兆

「世間に迷惑をかけなければ何をやってもいいんや」
 亀田興起の父親が公言してはばからぬ迷言である。
 人が社会の中で生きている以上、ある個人(家族と言ってもいい)が好き勝手なことをすれば、必ず周囲に影響を及ぼす。傍若無人な個人はわがままで無神経なので、常識のある人々が我慢しているだけのことである。亀田一家は、その沈黙を「了承」と見なして、「迷惑かけてないやんか」と開き直る。その言動、行動、考え方が、この国の根幹に与えるダメージがとてつもなく大きいことにも気づかずに。

 和田秀樹さんがメルマガエッセイでパチンコ屋の税務調査について書いてあった。その中で彼らの脱税を許さず、キッチリと納税をさせれば、消費税増税の1.5%の相当する額は所得税として充当できるだろうと試算している。また高利貸しや株屋どもに、しっかりとした税務調査をかけることができれば消費税は5%のままで充分ではないかとも言っている。
 大邸宅に住んで、高級外車を乗り回し、悠悠自適な貴族のような生活が、脱税で浮いたゼニで賄われているとしたら、ガラス張りの給料から徹底的に税金を搾り取られているサラリーマンは納得できまへんで。こんな杜撰な徴収状況で、なんで消費税を10%にされなくっちゃいけないんだろう。サラリーマンは生かさぬように、殺さぬように、ということなんだろうか。

 脱税を恒常的に行っている連中の言い分はこうだ。
「誰にも迷惑かけてへんがな、ちょこっとだけクソ政治家やクソ官僚へ渡す分の上前をはねているだけや」

 こういう輩が増殖してくると、早晩、この国は滅びへの道を突き進むことになる。恐や恐や……