昨日のいろいろ

 26日に遊歩道で捩花(ねじばな)を見つけたことを書いた。
 その花を観察したかったので、昨日は10分ほど早めに家を出る。そうして、捩花が群生しているところで、しばし足を止めた。
 捩花はおもしろい。時計回りの花、左巻きのやつ、まばらなの、規則正しく回転しているのもいる。
http://www.hana300.com/nejiba1.html
 ねじれ方は千差万別で、見ていてあきない。

 捩花、別名を文字摺草(もじずりそう)と言う。「もじずり」と聞くと、百人一首を知っている人なら、河原左大臣の「陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに」を想い出しませんか。
 この歌、忍ぶ恋の名歌だと思う。高校の授業のようになるけれど、ちょこっと分解してみる。
 初句の「陸奥(みちのく)の」は続く「信夫(しのぶ)」と一緒になって場所を示す。「奥州信夫郡(現在の福島県)」である。「しのぶもぢずり」は、信夫郡産出の、草木で乱れ模様に摺り染めた布のこと。
 初句と二句「みちのくの しのぶもぢずり」は、四句の「乱れそめにし」に掛かっていく。「乱れ模様に染めにし」と「心が思い乱れてしまって」と二流の意味が込められている。
 三句の「誰ゆゑに」も四句に掛かる。三句四句で「あなた以外の誰のせいで、こんなに思い乱れてしまったのでしょう」となる。
 結句の「われならなくに」の「われ」は四句と合体し「心が思い乱れてしまった私」となり、最後の「ならなくに」という詠嘆に続いていく。
「みちのくの信夫もじずりの模様のように、あなた以外の誰のせいで、こんなに思い乱れてしまったのでしょう。それなのにあなたは連れなくて……」
 河原左大臣源融(みなもとのとおる)の激しい恋の歌でした。

 昨日は忙しかった。午前中に会議が3つ。その内の2つはワシャが発表者である。だから前の日に原稿を自宅に持ち帰って、夜遅くまで発表の練習をしましたぞ。疲れたけれど、まぁなんとかできたので良しとしよう。 午後からの会議は長かった。午後1時30分から始まり、終了が4時だった。2時間を超えると集中力が切れて「もうどうでもいいや」となる。しかし、懸案がいくつもあるので途中で止めるというわけにもいかないし……。ようやく長い会議を終えて自席に戻ると、別の打ち合わせをするために情報系の課長と補佐が待っていた。
「ちょっとお茶でも飲ませてよ」と頼んだが「だめです」と言われて、そのまま協議に入る。一日に5件の会議はきつい。

 午後6時、残務処理を終えると、そそくさとJRの駅に向かう。本日は定例の「読書会」。隣町の会議室で読書談義に花を咲かせる。
 その中で、「中日新聞社の申告漏れ」についてが話題になった。
中日新聞社が名古屋国税局の税務調査を受け、2011年3月期までの6年間で計約2億8600万円の申告漏れを指摘されていたことが29日分かった。追徴税額は重加算税約1200万円を含め約5300万円。同社は29日に全額納付するとしている。29日付の中日新聞朝刊で、自社の申告漏れの記事を掲載した。同社によると、取材費や会議費の一部について、国税局が経費と認められない交際費と判断、重加算税の対象とした。》
 もちろんこの国税局の動きの黒幕は財務省である。消費税増税反対の最右翼にいる東京新聞を潰すため、作為的に調査が進められた。反対の論陣を封殺するために、消費税増税をやりたい「軍刀組」はここまでするのか。ここまで裏工作をしているところをみれば、現段階での「消費税増税」というものがいかに胡散臭いものかが判ろうというものである。
 東京新聞には、骨太の長谷川幸洋さんがいる。
「官僚が自分の身を切らずに、国民負担による増税を議論しようとしても、多くの人々は虚心坦懐に耳を傾けない。まず公務員制度改革をしっかりと実行して、天下り問題にけじめをつけてからでないと、増税による財政再建はできない。労働基本権はさっさと公務員に与える。そのうえで給与法を見直すべき」
 と、長谷川さんは手厳しい。前述の国策税務調査が、この論調から発していることは間違いなく、それ故に財務省軍刀組」の傀儡の国税局が中日新聞攻撃を行っている。見え見えの動きだ。
 この調査により、長谷川さんへの風当たりは強くなるだろうが頑張ってほしい。御用新聞ばかりになってしまった現在、大新聞の唯一の理性が長谷川さんなのだから。

 そんなことを話しながら、久々の読書会宴会に突入したのだった。宴会は若い子ばかりの店に入って、オジサンたちは肩身が狭かったけれど、それはそれで楽しかったのじゃ。

 帰路、少し残念な報せがあったが、それは言わないでおこう。