本を買う価値 その2

 亀田史郎(が書いたことになっている)『闘育論』(集英社)の定価は1200円+税、かたや業田良家の名作『自虐の詩』(竹書房文庫)は上下2冊で1126円+税である。『闘育論』が78円も高い。『闘育論』の方に値段のとおりの価値があるのかというと、ダントツで『自虐の詩』に軍配が上がるだろう。
『闘育論』は際物としての価値しかない。それに比べ、『自虐の詩』には、ドストエフスキーの『罪と罰』に通じる倫理的なテーマも入っているのだ。呉智英さんも、著書『マンガ狂につける薬』(メディアファクトリー)の中で、《十年に一度出るか出ないかの傑作である。》と断じておられる。
 この本を来月の読書会の課題図書に推薦しようかと思っている。