宝捜しのようなもの その2

(上から読んでね) 
 その中の一冊『防災という名の石原慎太郎流軍事演習』はある意味面白かった。東京都が開催した「ビッグレスキュー東京2000」に批判的な著者久慈氏は、自衛隊が江戸川に浮橋を架ける訓練を見て、《それはまさに「戦場に架ける橋」そのものであった。》と驚愕している。この人、他県で行なわれる防災訓練など見に行ったことがないんでしょうね。例えば愛知県でも矢作川で大規模な防災訓練が実施された時に、このオジさんの言う「戦場に架ける橋」は架橋された。別に石原知事だから架かったわけではないのである。こう言った調査不足による針小棒大な言説こそ恐いわい。
 他にも、御殿場の特科連隊(砲兵部隊)が晴海会場に現れたことを取り上げ《なぜ「防災訓練」に砲兵隊が出てくるのか。》と驚いているけれど、三河に大災害が発生した時には豊川の第10特科連隊に助けてもらうことになっている。だからどの市町村の防災訓練にも特科連隊が来るんですぞ。
(実はこんな話を書くつもりではなかった。書き始めはもっと別の展開を考えていたのだが、この「石原批判本」があまりに面白いので書く手が止まらない。)
 こんなのもあった。銀座通りを自衛隊の87式偵察警戒車が走行しており、その周囲にカメラを構えた市民が写っているという写真だ。この写真にこんなコメントが付けてある。
《銀座の中心街を走り回る偵察警戒車。25mm砲は意図的にはずされていた。警戒の目、警戒のカメラが集中する。》
 そりゃ違うって(爆笑)、さっきも書いたがどこの市町村の防災訓練でも、依頼してスケジュールが空いていれば87式偵察警戒車は出動してくれる。25mm砲を外すのは、何も意図的ではなく、通常の市街地に行くのに、あるいは防災出動をするのに必要ないから外しているだけじゃないか。それに沿道でカメラを構えているのは、確かにオウム真理教などのカルト集団に見られる「報復撮影」に来ているバカもいるだろうが、大半は珍しい車両を興味本意で撮影している普通の市民なのである。実際に地方の防災訓練に足を運んでみなさいよ。展示ブースに停められた87式偵察警戒車の回りは目を輝かせた子供や昔子供だった人であふれているから。
それにしても、よくもまあこう穿った見方ができるものだと感心してしまった。突込みどころ満載の楽しい本だったわい。この著者のバカ本はまた読みたくなった。
(明日に続く)