澤瀉屋

 二代目猿之助(猿翁)の写真を見ると当代の猿之助によく似ている。そりゃあ祖父と孫なんだから似ていてあたりまえなんですけどね。
 今、手元に昭和38年11月初版千部発行の渡辺茂雄『猿翁芸談聞書』(時事通信社)という本がある。時期は忘れてしまったが神田の古本屋で2,500円で購入した一冊だ。この本には何ページかの写真も掲載されており、これが楽しいのである。猿翁の「勧進帳の弁慶」とか「俊寛」とか「黒塚の鬼女」とか当代が得意としている演目ばかりだ。「一力茶屋の平右衛門」がびっくりした顔なんぞ、三代目の猿之助に生き写しでござるよ。
 最近、猿之助が歌舞伎をやらないけれどまた観たいなァ、澤瀉屋の勇姿を。
 たまたま6月12日は市川猿翁の命日でございます。チョォォォォン!