現代妖怪大全(2)

【地響鬼(じひびき)】
 昨日信号待ちをしていたらこの妖怪に出くわした。雨のせいだろうか車は渋滞していた。長い信号を待っていると「ズンズンチャズンズンチャズンズンチャ」と腹に振動が伝わってくる。出た!狂気の音きちがい妖怪「地響鬼」だ。音源を確かめれば、横断歩道で停まっているワゴン車の中から伝わってくるのじゃ。それにしてもウインドウは全部閉まっているのに、これだけ外に音が漏れてくるとは……車内の音は尋常ではあるまい。やはり「地響鬼」に憑かれているに違いない。
 横断歩道を渡る時に、その車に乗っている男の顔を見たが、貧相な目はトロ〜ンとして焦点が定まっていない。ダメだこりゃ。
 地響鬼にとり憑かれた人間は後年難聴になるという。恐ろしや恐ろしや……
【比々(ひひ)】
 伝説によれば、怪力を有した大きな猿のような妖怪で、人をさらったり食ったりするそうなのだが、最近はこの妖怪、頭がよくなって、人間界にもぐりこんで保険金殺人を実行しその金でいい生活を送っているという。
今朝の朝日新聞一面に載っていた保険金殺人は、容疑者はフィリピン人女性(38)というから純正の「比々」だわさ。この女性と「親しい間柄」(どういう関係じゃー!)にあったという元スナック経営者(66)も狒々(ひひ)爺らしい。こっちは国産。