子どもの頃、この本が欲しくてねぇ、でも当時の金額で1,200円もしたから買ってもらえなかった。
昨日、仕事帰りにブックオフに寄ったら1976年発行の『少年朝日年鑑』が出ていたので思わず買ってしまった。中にはいろいろと面白い記事が載っていましたぞ。
「差別とのたたかい」と題した項にはこんなのがありました。
《学校では、男女の差別の他に、「できる子」「できない子」の差別も強い。本人たちばかりではない。先生や父兄も、それを意識する。だが、勉強のできる、できないは、本人の努力も大きいが、親ゆずりの面もあるし、育った環境もある。本人だけの責任とはいえない。》
さすが朝日新聞系の年鑑だ。言うことがおかしい。ワシャは、親のできは悪いが息子は優秀という俗にいう「トンビが鷹を生んだ」という親子をいっぱい知っているし、劣悪な環境を克服した秀才も多い。「愚者」を遺伝と環境のせいにしてしまうとは、凄いね。
また「第3世界のリーダー 明日をめざす中国」と題して
《毛主席はこれまで何回も党のあり方や、社会主義建設の方法など党の基本的進路をきびしく見つめ、ときには大手術をおこなった。57年の反右派とう争、65年からの文化大革命、71年の林彪事件などはこの大手術だった。》
どはははは・・・文化大革命が大手術だったとは知らなかった。一説に死者1000万人というのもあって、中国に政治的混乱や経済停滞を引き起こした罪の部分はあまりにも大きい。大手術といっている年鑑の筆者はこれまた凄いね。
「国土と人口」の項では、地震について書かれている。ここは今でも通用しそうなことが書いてあるぞ。
《「日本中のビルが危険」という、もう1つの証言―ある若い建築士のつぶやきだ。「大地震でビルが全部たおれ、ボクの設計したビルだけ無事に立っていたとする。するとボクは建築士仲間の笑いものになる」》
何故か?
《それは、「他の人よりカネをかけて、“よけいな強さ”に設計した。あいつは経済性を軽視した建築士だ」と思われてしまうからだという。》
この文章は今朝の新聞ではないんですぞ。30年前の年鑑に書かれていることなのです。
もしかしたら30年も昔から業界では手を抜くことが常態化していたのではないかと思わせる恐い記事ですなぁ。因みにこの文章に登場する建築士は姉歯建築士ではありません。彼は当時19歳ですからね、まだ建築士にはなっちょらんです。