原子力発電推進派の武田邦彦先生が反対派に

 2月24日の朝日新聞に「台風 強さ7%増 温暖化進む今世紀末」と題した小さな記事が載っている。内容のバカさについては、2月25日の日記を見てね。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20110225/1298586320
 温暖化で台風の怖さを煽っておいて、翌25日の1面で「中電 新たに原発」「立地は示さず2030年めど方針」とぶち上げる。社会面にも「南伊勢町に事前説明」「中電新原発『芦浜』計画の地」と見出しがおどる。
 うまい連携記事だと思う。
 もちろんこれは偶然に24日、25日と並んだ記事ではない。中部電力から莫大な広告料をもらっている朝日新聞リテラシーのない阿呆を誘導するために作為的に仕組まれたものだ。
 311以前は、社会の公器(プッ!)でもこんな作為が平然と行われていたんですね。

 一昨日の「たかじんのそこまで言って委員会」に武田邦彦先生(中部大学教授)が出演され、こう宣言をした。
「わたしは今まで原子力発電推進派でしたが反対派に転向しました」
 先生は、常々、「原子力は安全に管理されていれば大丈夫」と言っていた。しかし、ここに来て政府、経済産業省国土交通省文部科学省東京電力原子力研究者たちの言動がまったくウソだらけで、うそ淋しくなったのだそうだ。いわゆる原発村の皆々様がいかに出鱈目を言ってきたのかということに先生は気が付いた。

 5月20日の朝日新聞「耕論」で元参議院議員の加納時男さんが怒っている。このオッサンは言う。
《そもそも、「原子力村」という言葉自体が差別的です。》
 ほう、差別的かなぁ?
原子力産業はさまざまな分野の知見を結集しなけれな成り立ちません。それを「ムラだ、ムラだ」とおちょくるのは、いかがなものか。》
 いかがなものなんでしょうね。少なくとも馴れ合いで、その限定されたコミュニティの中だけで通用する理屈を振りかざして、コミュニティ外の他者(例えば放射能汚染で被害を受けるかもしれない原子力と関係のない国民)に迷惑をかけるということを、これっぽっちも慮らない集団、これって「ムラ」と呼ばれても仕方がないのではないかいな。
 加納さん、東京電力の副社長まで登りつめて、その後、参議院議員に転身する。在職中は国土交通副大臣ってとても判りやすい職を務めて、その後、東京電力の顧問に納まっている。
 誰が言ったのか、「原子力村の使い走り」と呼ばれていた。このことに対して「失礼千万」と怒っているわけだ。
 でも、この「耕論」でも言っていることはすべて「原子力村」の擁護以外のなにものでもなく、こういった方々がガタガタの原子力行政を食い物にしてきたことが読み取れる。
 加納さんは言う。
原子力業界が大学に研究委託や研究費支援をするのも、「癒着」ではなく「協調」です。》
 原発推進派だけに資金協力をするというのはやっぱり「癒着」でしょ。
《反原発を主張する国公立大の研究者は出世できないそうですが、学問上の業績をあげれば、意見の違いがあっても昇進できるはずです。》
 では、原発推進派の学者がどれほどの学問上の業績を上げているのか教えてほしい。