国勢調査(1)

 件の座談会で大林局長は言う。
国勢調査には基本的な役割が4つある」のだそうだ。
 その1として「基準となる人口を提供している。」ということなのだが、この国勢調査による人口は住民基本台帳の人口と大きく乖離している。だいたい行政計画を立案するにしたって3年も4年も前の国勢調査人口を使うよりも、直近の住民基本台帳人口を使ったほうが確実だ。
 その2では「市町村を細分した地域別の結果が行政の基礎資料となる。」と言っている。確かに国勢調査では市町村を調査区と称して細かく細分化してある。局長はこのことを言っているらしいのだが、これたは単に調査区が同一規模になるように町とかコミュニティを無視して市町村に切り刻ませただけのことで、大した意味など持っていない。知り合いの行政マンに訊ねても、地域別の結果が行政基礎資料になったという話を聞いたことが無いそうだ。あるいは国政の場ではこの調査結果が活かされているのかもしれないが、意味なく細分化された調査区自体が意味を持っているという言いぐさには眉に唾をつけざるをえない。
 その3、「ベンチマークとなる人口を提供している。」
 まず、ベンチマークってなんだ?ベンチマークって「基準」ということじゃないのか。おいおい、その1を横文字で言い換えただけじゃないの(嘲)。
 その4は「サンプル調査をする場合のフレームを提供している。」んだってさ。
国勢調査というものは、大雑把なことしか訊かない(訊けない)から、どうしても各施策計画の立案の場合は詳細調査を実施しなければならない。その際の調査基準となる調査枠(調査区)を提供しているということらしい・・・だんだん疲れてきた。
 いいかげんなことを言っていてはいけない。なにが「国勢調査には基本的な役割が4つある」だ。2つしかないじゃないか。
 つまり国勢調査には「基準人口の把握」と「調査区設定」にしか意味がないということを図らずも局長が認めていたのである。ご苦労様。
 今回の国勢調査でも、多くの調査員が苦労して調査票を回収している。これだけプライバシー病が蔓延し、思いやりのないバカが大手を振っている時期に調査の苦労というものは並大抵のものではない。統計局長もそんなとぼけたことばかり言っていないで足下を見ろよ。調査員の皆さんは必死に調査しているのである。この調査員の労苦を無駄にしないためにも平成17年調査の結果を真摯に踏まえて、抜本的な調査の見直しを真剣に考えたほうがいい。