峻嶺

 司馬遼太郎記念館会誌の第16号の冒頭に記念館館長の「大書架から」というエッセイが連載されている。その中に司馬さんの蔵書に関する記述があった。それによると司馬さんは手元まわりだけでも辞典256、事典182、字典9、その他古典関連が50点ほど置いているという。館長によればまだ「蔵書目録」はできないとのことだが、司馬フリークのワシャとしては「早く知りた〜い」のである。
 作家出九根達郎は言う。
「司馬さんは書物のコレクターではなかった。用ずみの本は払い出し、必要な本を購入し、その書庫は目まぐるしく入れ替わっていたのである。司馬文学を研究するには、司馬さんが『何の本を残したか』を調べれば、ある部分が見えてくるような気がする」
 なるほど、そういった高尚な意味からも「蔵書目録」は興味深いわけだね。
 ワシャの拙い調査(ルーペで写真に写った司馬本棚を覗くなど)によると司馬さんのレファレンス本は以下のとおり。
「諺語大辞典」「故事・ことわざ辞典」「続故事・ことわざ辞典」「日本名言名句の辞典」「漢語辞典」「日本類語大辞典」「中国古典名言事典」「日本語語源辞典」「外来語辞典」「漢詩名句辞典」「漢字語源辞典」「近世風俗事典」「康熙字典」「武芸流派大事典」「図解古銃事典」「明治人物逸話辞典」「国史大辞典」「日本国語大辞典」「室町幕府守護職家大事典」「科学史技術史事典」「社会科学事典」「仏教古文書字典」「故事類苑」「日本仏教人名辞典」「東大寺辞典」「妖精辞典」・・・
 ああっ、面倒くさい!早く「蔵書目録」をつくってちょーだい!
 印象としては語源に関するもの、故事・ことわざに関するものなど司馬薀蓄のバックデータらしきものがかいま見える。う〜む、恐るべし知の巨人。