公器

 社会の公器といわれる新聞がおもしろい。
 ここにある日の新聞が3紙ある。その1面の見出しを見てみよう。
《中日》
○金総書記「非核化へ努力」
○宝塚の愛 万博を巡る
○野口さん「今こそ飛ぶ時」(スペースシャトル打ち上げ)
参院自民17人「反対」(郵政民営化法案)
○5月総選挙前に計画(英国同時テロ)
《朝日》
著作権を一括管理
○在外投票権 憲法判断へ
○労働力、10年で410万人減
○首謀者特定急ぐ(英国同時テロ)
○二重衝突(パキスタン列車事故
《産経》
○「ハイキングに行くように」(英国同時テロ)
○教育係は辛容疑者(北朝鮮拉致問題)
○1兆円削減案 決定(全国知事会議)
○いざ発進(スペースシャトル打ち上げ)
○綱渡りの作業、統合延期も(三菱東京UFJのシステム接続)

 ううむ、随分と扱い方が各紙で違うものだなぁ・・・3社に共通しているのは「英国同時テロ」に関する記事のみである。「北朝鮮非核化」の話を1面トップで扱っているのは《中日》のみで、他の2社は2面扱いとなっている。取り上げ方は3社それぞれ微妙にニュアンスが違っていておもしろい。
《中日》「アメリカが柔軟な対応を打ち出している。」
《朝日》「韓国案に対して日米は歓迎」
《産経》「官房長官 韓国案に警戒感」
 ね、バラバラでしょ。一般の人は一紙しか新聞を読まないから、とっている新聞に書いてあるとおりなんだと思ってしまうよね。「教育係は辛容疑者(北朝鮮拉致問題)」でも《産経》は1面トップ4段抜きだが、《朝日》は社会面ラジオ欄の上に小さく載せてあるだけである。これじゃあ産経読者と朝日読者の、この問題に対するスタンスに差が出るのは当たり前だのクラッカーなのだ。
 また特徴的なのが「愛知博」関連の記事だった。《中日》、《朝日》は愛知県版なので「博覧会」関連の記事で満載だが、《産経》は東京で買ってきたものなので「愛知博」関連の記事は1行も載っていない。確かに朝の情報番組を見ていても、どの局も「愛知博」など全く扱っていない。これが現実だ。
 このように新聞、テレビなどは場所や考え方によって内容が随分と変えられている。もちろん賢明な人たちはとっくに知っていることだが、マスコミを公器などと思いこむのはやめたほうがいい。