図書館のこと

 子どもが小さかった頃は家族でせっせと図書館通いをしたものだった。最低でも2週間に一度は足を運び、毎回20冊ほどを借り出して読んでいた。最近は子どもが巨大化したので足が遠のいているが、図書館には随分とお世話になっている(感謝)。
 そんなわけで近くの市立図書館では常連となり、司書の皆さんとも顔見知りになった。ワシャの場合、時々、変な本が読みたくなるので司書に相談する。例えば、「朝野旧聞襃藁(ちょうやきゅうぶんほうこう)」(徳川氏創業史に関する資料の集大成)や「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」(江戸後期に編まれた古今の文献を集積した叢書)はなかなか個人では購入できないので図書館でコピーさせてもらう。「古今著聞集(ここんちょもんしゅう)」(中世の説話集)は蔵書されていなかったので、他の図書館からわざわざ取り寄せてもらった。本当に助かっている。
 先日、仲のいい司書がこぼしていた。「書籍の購入予算が削られている」というのである(そのあたりは今朝の朝日新聞三河版に詳しい)。確かにどの自治体も緊縮財政で厳しい財政運営を強いられているわけだが、文化・教養の根本である書籍購入費が削減されるとは世も末だなぁ・・・
 司書くん、もう一つ愚痴った。「図書館の利用者がせこい」と言うのだ。「どういうこと?」と訊ねると、「すぐ新刊本をリクエストしてくる」のだそうだ。だから人気の書籍は数十冊を購入して並べておかないといけない。それでも3ヶ月待ちとかになってしまうそうで、そうまでして借り読みしたいかねぇ。「電車男」なんか1,300円でっせ、どうしても読みたければけちけちしないで買えよ。この手の駄本に予算を食われて、図書館が本来収集すべき資料や文献にまで手が回らないそうだ。う〜む、文化が干からびてゆく・・・
「図書館はせこい利用者に媚びる必要はない」と司書くんを慰めたのだが、彼は「今時の市民様は偉くなったからね」と言って溜息を就くのだった。