奈良女児誘拐殺人事件のことである。
殺害された女児の家は、女児の通う富雄北小学校と隣接の三碓小学校との校区境にあった。女児が殺害される2ヶ月ほど前に女児の自宅周辺に不審者が出没したことがあり、三碓小学校では保護者に呼びかけ注意を促していた。残念ながらその情報は富雄北小には伝わらず、女児や父兄らにはなんの指示もなかった。
もしその時に「へんなオジさんにはついていかないように」とか「声をかけられても逃げるように」とかの指導が成されていれば女児の命は助かったかもしれない。小学校には校区割りがあって、三碓小の校長の責任は校区内の安全であり三碓小に通う児童の安全である。そりゃそうだが、犯罪者に校区なんてないんだ。杓子定規な行政の縦割り弊害といってもいい話だ。
さて幼児がスーパーで危地害に殺害された事件の続報。
地元自治体に事件の第一報が入ったのは消防署からだった。動きは速かった。連絡を受けた部署は市長や関係各課に連絡をするとともに、まだこの時点で犯人は拘束されていなかったので最悪のケースも想定し、スーパー周辺の町内会(自治会)や学校、保育園などに連絡をし、広報車を出し周辺住民に注意を促したということだ。三碓小学校の関係者にもこのくらいの想像力と行動力があればよかったのに、と思ってしまう。
実は昨日、現場のスーパーに行ってみた。警備員が入口で客にあいさつをしているのと、犯行現場の一角が立入禁止になっている以外、いつもと変わったところはなかった。
すでに日常はわずか一日でこの惨劇を飲みこんで平穏を取り戻しつつあった。