幸せが満ちるように

 どうしても気になるニュースがある。ニュースそのものが気になるというよりも、ニュースの中に出てくる人名が気になっている。
 千葉県東金市で5歳の女児が殺害された事件である。この児の名前が「幸満」という。「幸せが満ちるように」ということで名付けられたのは間違いない。いい命名だ。「ゆきみつ」という男の子の名前ならば……
 しかし「幸満」は女の子の名前だった。読みは「ゆきまろ」だそうだ。「幸」は「ゆき」でいいよね。でも「満」は「みつ」でしょう。人名では「まろ」とも読めるから、「ゆきまろ」でもいいけれど、まず「満」を「まろ」と読む人はいないだろう。そこまで奇を衒わなくてもよさそうなものだが、今の親は「世界で一つだけの花症候群」で、奇抜で個性的な名前を付けたいんだよね。
 そして「まろ」という読みだが、基本的に「まろ」は男子の人名を構成するのに用いる。例えば柿本人麻呂和気清麻呂喜多川歌麿近衛文麿などのように。だから、この事件の第一報「5歳の女児の遺体が発見されました。被害者は成田幸満(ゆきまろ)ちゃん……」を聞いた時に、女児と男児をいい間違えたのかと思ってしまったくらいだ。

 中東や東南アジアの危険地帯を歩いてこられたコラムニストの勝谷誠彦さんが9月17日のメルマガでこんなことを言っていたのを思い出した。
《かわったことをするとかわったことが起きる》
 名前と事件にはなんの因果関係もないが、変わった名前を付けるよりも、平凡でもいいから女の子らしい名前の方がよかったのに、と思ってしまったのはワシャだけだろうか。(合掌)