白昼の狂気 その1

 愛知県安城市イトーヨーカドーで一週間前に刑務所を出所したばかりの「危地害」が幼児を刺殺し、女児や女児を庇おうとした女性に暴行をくわえた。「危地害」氏家克直(34)は店内で包丁を盗んで、それを幼児の頭に突き刺した。氏虫はちびっこ広場で「殺してやる」と叫んで暴れていたらしいが、顕かに行動が異常だ。覚せい剤でもやっていたんじゃないのか?
 消防への救急要請は10時44分に入った。どこにでもいる母子はいつもどおりの平穏な午前を隣町のスーパーでショッピングをしていたのである。なんの罪もない親子を日常に紛れこんだ狂犬が踏みにじったのだ。
 この事件であちこちのスーパーが警備の強化にはしるだろう。事実、イトーヨーカドーの専務は「今まで以上に警備体制を強化していきたい」と言っている。
 そうじゃないんだ。この事件はスーパーの警備体制が甘かったから起こった事件ではない。問題は人間のふりをした狂犬が日常の中に紛れこんでいるということなのである。もし一週間前に刑務所を出所した狂犬が安城市あたりをうろついているということが地元に知らされていればスーパーも目つきの悪い男に注意をしただろうし、地元警察だって注意をしただろう。そういった情報がないから市民は無防備なのである。むしろ犯罪歴のあるものの情報を開示するほうがこういった悲劇の抑止につながるのである。
 専務に会社の責任(警備の甘さ)を追及したバカ記者もいたらしいが、この記者、日常の中で不意に襲ってくる「危地害」にどう対処せよと言うのだろうか。想像力の欠如があまりにも甚だしい。スーパーに自衛隊を配置したって「危地害」は凶行に及ぶだろう。問題は警備の問題ではないのだ。
 この事件に関して某教育評論家様がとぼけたことを言いはじめた。「この事件の原因が成果主義や競争社会にあり、『危地害』を生んだのはこの社会である」
おいおい、そうじゃないだろう。悪いのは社会ではなくてこの犯罪常習者なのだ。社会を悪者にして論点をぼかしてはいけない。
(「白昼の狂気 その2」に続く)