不愉快である

 今場所に新入幕を果たした19歳の若武者がいる。名を白鵬、モンゴル出身、189cm、138kgの恵まれた身体を持つ期待の力士だった。不肖ワルシャワも将来の大関横綱になる器と嘱望しておった。にもかかわらずこのバカ、よりによって千秋楽の優勝が絡む取組で、姑息にも変化して北勝力を引き落としで下したのである。
 たとえばこれが白鵬の勝ち越しがかかっているならば許せる。たとえば北勝力が優勝に絡んでいなければ許せるのだが、この一番、そんな生半可な一番ではないのだ、ということをこのバカ、気づいていなかった。もし気づいていたなら、こんな腹黒い19歳はいない。
 ここは一番、正面からこの角界の先輩に胸を借りるつもりでがっぷりと相撲をとって、それで勝っても気持ちがいいし、負けたってさ、好角家たちはおまえのファンになるんだぞ。
 あの取組の決まった瞬間、思わず「汚い!」と言ってしまった。それほどムンフバト・ダバジャルガルの相撲は最悪だった。立会いの「待った」も計算ずくだった。インタビューで思わず、「昨日から考えていた」と白状してしまったのだ。バカだね。勝つためには手段を選ばない、こんな卑劣なやつは二度と応援しないのだ。先輩の旭天鵬の颯爽とした相撲を見習えよ。どうやらダグワドルジにかわいがってもらっているようだから、性格もひねているのかもしれない。
 それにしても、大関陣の不甲斐なさよ。ブーヤンは負け越して角番だし、千代ツッパリは横綱に手も足も出ないではないか。お前、なんのために大関張っているの。5月8日の朝日新聞に「朝青龍 連勝どこまで 大関陣の自覚次第」と書いてあったが、自覚のじの字もなかったね。横綱の連勝を止めたのは北勝力だったし、優勝から遠ざけたのは旭天鵬だった。朝青龍の独走では大相撲は面白くならないんだ。大関陣よ、9勝、10勝でうろうろしているならさっさと引退せよ。お前らがいなくなれば下から有能な力士が必ずや上がってくるから安心して土俵を去れ。
 夏場所は、北朝鮮交渉と同じで最悪の結末になってしまった。こうなったら北勝力旭天鵬に期待をして、来場所を楽しみに待つこととしよう。