罪と罰

 朝日新聞の地方版に小さな事件がいくつか載っている。
 女が自営業の男性方の裏口から侵入して、現金約8800円を盗もうとしたところ、男性の妻が帰宅してもみあいになったとさ。
 そこで女が言ったセリフがふるっている。
「私を凶暴にさせないで」
 いいねぇ、映画や本のタイトルとしてもいけるのではないか。
 で、その女、妻にやかんを投げつけた。すかさず妻は、
「私にやかんを投げないで」と、言ったとか、言わなかったとか(言わねぇよ)。

 21歳のバカ会社員が、駅のトイレで会社員の男性の鼻骨と前歯を3本折って、10000円を脅し盗った。おいおい、手加減というものをしらないのか、お前は。前歯1本直すのにいくらかかると思っているんだ。保険のきかないセラミックだと7万円もするんだぞ。鼻骨骨折の治療費と慰謝料でへたすりゃぁ100万円単位の金が請求されるんだ。それよりも強盗致傷で逮捕されれば、会社だってクビだろう。そのくらいの計算しろよ。

 男が、無職の女性から、な、な、なんと、600円が入った財布を強奪した。ひえーっ!男は、この恐ろしい犯罪に手を染めてしまったことを悔い、ついに自首をしたのである。「生活に困ってやった」ということらしい。
 これはしかし一概にこの男ばかりを責められないような気がする。あるいは小泉くんや竹中くんの責任もあるような気がしてならないなぁ。

 これらの記事で問題なのは、この事件すべて実名をあげて報道するべきか否かということである。どうだろう、8800円とやかん、10000円と鼻と歯、600円、これらがそれほど重要な事件なのだろうか。
 エコノミストが女子高生のスカートの中をのぞいたということで大バッシングが起きた。もちろん報道はすべて実名だった。しかし上記の3件も含み、実名で報道する必然性が感じられない。してしまったことと社会的な制裁が著しく均衡を欠いているような気がしてならない。
 これはもう少し腰を据えて考えなければいけない問題だと思う。