犬も歩けば美女に当たる

 16日午後0時50分、京都ホテルオークラ1階ロビー。私と仲間はスカイラウンジで昼食をすませ、エレベータで降りてきたところだった。目と鼻の先、1メートルもないところを小柄でスレンダーな女性が横切った。なにげなく(いや、しっかりだったかも)見た横顔は、上品な鼻梁が印象的で、聡明そうで、静謐で、端整なものだった(う〜ん、へんな描写だけど、要するにめちゃめちゃ綺麗なのである)。
 それもそのはず、その人は女優の沢口靖子だったのだ。
 彼女はまっすぐフロントに行き、なれた様子で従業員に話しかけている。そして彼女は大きめの菓子折のようなものを受け取ると、軽く会釈をしてエレベータに向かった。途中、すれ違ったホテルマンにも会釈していたから常連なのだろう。エレベータに乗り込んで彼女は上階へと消えた。
「ふぃ〜」と、ため息が漏れた。やっぱり芸能人は違うわい。その時、ロビーには着飾ったあまたの女性が、きつめの香水を振り撒きながらうろついていたが、雲泥万里、月とすっぽん、鶏群の一鶴の観があった。
 彼女のごく自然な態度から推測するに、親しい知人がこのホテルに滞在しているのだろう。その人のところにご挨拶に訪れたという雰囲気だった。菓子折のようなものも自分で調達してくるのではなく、ホテルに用意させているところなど、いかにも特権階級らしくて格好いい(沢口靖子ならなんでも許せる自分が悲しいけど・・・)。
 きっと、間抜けな顔で彼女を見送っていたに違いない。あー、恥ずかしい。

 それにしてもホテルオークラのフロントは出来が悪い。JRのクーポンでランチバイキングを食べに行ったのだが(ちょっとわびしいけど)、レストランの場所がわからなかったので、フロントでクーポン券を提示して案内を請うた。しかし対応をしたフロントマンはそのクーポン券を知らなかった。クーポン券を手に持ってしばらく右往左往したのちに、事務所に引っ込んで上司にでも聞いたのだろう、ようやくエレベータでスカイラウンジまで上がるように指示してくれた。
 そのくらいのこと勉強させておいてよ。ホテルオークラの底の浅さが垣間見えてしまった。(でも沢口靖子にあえたから許しちゃうけどネ)
 
 都をどりのことはまた明日書きます。