議席投げうち あなたのもとへ

 三重県尾鷲市の女性共産党市議が、四日市市に住む彼のもとへ嫁ぐため辞職願いを提出した。このため市議補選を行うのだが、被選挙数が1のためか、候補者の払底のためか共産党は立候補を断念した。賢明だね。
 それにしてもこの女性議員、共産党員にしてはかなりユニークな人である。共産党の国会議員が演説をすると、みんな不破さんそっくりの口調になっているし、志位さんなんかは不破さんがとりついているんじゃないかと思えるほどだ。
 地方議員レベルになると、これまた面白い。以前、国政選挙の開票をのぞきに行ったことがあるが、深夜になってほぼ開票が終了し、これでおしまいかと思ったころに、開票場の片隅で立会人や職員が固まってなにやら真剣な面持ちで票の確認を始めている。よく見ると共産党市議(立会人)が束ねてある無効票を一票一票チェックしているらしい。一人の確認のために全ての開票事務がストップした。その議員の票を見る真剣な眼差しが、怖い。結局、30分も続いたのかなぁ、ついに不審な票はでなかった。通常の無効票の確認は、それぞれの党から選ばれた立会人がざっと確認して終わるのが通例だが、党からの指令がでた共産党市議だけは執拗だった。
 そういった共産党議員の類例のなかでは、この女性は自己をもっているし、党の方針に堂々と反し、厳しい選挙戦(とくに尾鷲という保守の強いところで)で得た議席を放り出すという快挙にでた勇気に拍手をおくりたい。
 あるいはそういったことのできる自由な党風になってきたのか、とも思ったが、まさかそんなことはないだろう。
 このところ議員の破廉恥な行動ばかりが目に付いて辟易としていたが、久しぶりにすがすがしい朝を迎えることができた。「結婚で議員を辞めるなどということは聞いたことがない」と共産党三重県委員会はコメントしているが、現在の痴呆議会のありさまを見れば、議会より結婚を選択したこの女性は正解なのである。お幸せにね。