ちょっとした出来事

 昨日、岡崎の「BOOKOFF SUPER BAZAAR」に行ってきた。他にも岡崎で所用があったんだが、市街地の南部あたりを走っているとつい立ち寄ってしまう。そこで休憩がてら本棚を20分ほど確認して、何冊かの本を見つけてしまった。

 事件はこの後に起きる。ワシャは本を抱えてレジ待ちの列に並んだ。ワシャを含めて何人かが待っている。でもね、レジ2つで対応してくれているので割と早い。

 すぐにワシャの前の前に並んでいたオバサンがレジに着いた。本を抱えるほど持っているので、この人はちょっと時間がかかりそうだ。ワシャの前に並んでいた小柄なオッサンがレジに着いた。この人は如何わしいDVDを1枚持っているだけなので早そうだ。何気なくその後ろ姿を見ていたが、服装がだらしなかった。年齢は老けて見えるけれどワシャと大して違わないだろう。Tシャツの半ばをGパンの中に、半ばはだらしなく外に垂れている。Tシャツの上に網目のベスト、裸足にクロックスをつっかけるという格好。

 その人が何だか時間がかかった。オバサンのほうは品物が多いので仕方がないにしても、オッサンのほうはレジ係となにやら話を始めたのだ。オッサンの背後に少し離れてワシャは立っている。ぼそぼそ話していることは判るんだが、全体には聞き取れない。時折「・・・おかしい」とか「・・・高い」とか断片的に聞こえてくる。長々とレジ係と話し込んで、ようやく支払いになった。そこでも財布をこね回して、また時間がかかっている。

 ワシャは、これから別の用事もある。それほど時間に余裕がない。ちょっとだけ「イラッ」とした。

 ようやく金を払ったオッサン、如何わしいDVDを受け取って、それでもレジ前から動こうとしない。そしてレジ係にこう言った。

「袋がねえじゃねえか」

 レジ係はあわてて小さいレジ袋をオッサンに手渡す。そうしたらね、そのオッサン、レジのところで袋をくつろげ始めた。DVDを袋に入れようとしているのだ。レジ袋の口がくっついて乾燥した指ではなかなかそれが開けない。レジ係は「後ろのテーブルでお願いします」とレジ前から離れて作業(というほどのものじゃないが)するよう頼んでいる。

 オッサン、そんなことは耳に入らないのだろう。レジ前でずっとゴソゴソやっている。

「いつまでもグズグズやってんじゃねえよ」

 と、ワシャはつい独り言を呟いてしまった。ホントに小さな声だったんですよ。

 そうしたらね、ようやくオッサンのDVDが小さな袋に収まったらしく、オッサンはのったりと振り返りワシャを睨んだ。独り言が聞こえたかもね(笑)。

 オッサン、睨んだまではよかったが、ワシャのほうが上背も体格もよかったので、ちょっとたじろぎを見せながら、それでもワシャに「なんか文句あるのか?」と言ったのでした。

 こういうシーンがワシャはわりと得意なんです(笑)。高校時代からその道を極めておりましたから。

 ワシャはオッサンの表情に出たわずかなたじろぎを見落とさなかった。ワシャは身じろぎもせず、表情だけ強面(右眉と左眉を段違いにして、左目を細く右目を大きく開き相手を睨む)にして、「ああ?」と太い声を出す。この「ああ?」は「なんじゃ?」「やるのか?」といったことをすべて含む道を極めた連中のスラングなんですね(笑)。そして相手が目を逸らすまで睨み続ける。

 そうしたらね、レジ係が「次の方、どうぞ」と声を掛けてくれたので、ワシャは「は~い」とかわいい声で返事をして、レジに着いたのでした。

 ワシャはテキパキとレジを済ませ、急ぎさっきのオッサンを探したんです。待たせてはいけませんからね。けれど、オッサンはそのフロアから消えていたんですね。

 な~んだ。アヤをつけてきたんじゃなかったのか。久しぶりに少し崩れた感じのオッサンに「なんか文句あるのか?」などと言われて期待したんだけど、残念(笑)。