郷に入っては郷に従う

 日本は国土の73%(27.5万㎢)が山岳や丘陵である。つまり人間が住める平らなところは27%程度しかない。さらに農地分の数万㎢を差し引いた土地に1億2千万人が生きている。

 例えばイラクで考えよう。イラクは日本の1.2倍の国土を持っている。北部に山地が存在するが、チグリス、ユーフラテス川流域は広大な平野である。

 サウジアラビアでもアラビア半島の東半分は平地だし、紅海沿岸部だけでも日本列島よりも平地は多いように見える。面積で6倍の土地に6分の1の人間が住んでいる。

 何を言いたいかというと、これである。

《土葬墓地の設置に意欲 宮城県・村井知事「批判あってもやらねば」 時期・場所は未定》

https://news.yahoo.co.jp/articles/0d8b4a34f947622335b5ab98c20e1d512c7a0cda

 村井知事にはしっかりと自覚してもらいたい。墓地を造ろうと思えば造れる土地が、イスラム圏にはものすごい面積であるのだ。そもそもプレートがぶつかり合って水面上にせり上がった山岳ばかりの日本列島とは広さのレベルが違う。

 そのスケールの極大の国、地域なら土葬墓を何千万と造成しても、全体の面積から言えば微々たるものである。

 しかし日本は違う。汲々とした土地の中で、かつては「ウサギ小屋」と呼ばれた住宅に肩を寄せ合って暮らしてきたのが日本人なのである。

 村井知事は、土葬を望むイスラム教徒のために土葬用墓地を県内に設ける必要性に言及しこう言った。

「外国人が増えていくと、結婚して家庭を持つ人もいる。日本人でイスラム教に改宗し、土葬を望む人もいると思う」

 バカ言ってんじゃないよ。

 日本が狭いということばかりでなく、土葬ってのはね、土の中で遺体が腐敗していずれは土にかえるという埋葬方法なのだ。これには衛生面の問題もある。火葬とは違って、その影響が地下水に及ぶ可能性もあるのだ。過去には、土中に埋められた遺体が原因で感染症が引き起こしたという事例もある。イスラム圏のような乾燥した土地柄ならいいけれど、日本のように高温多湿のジメジメしたところでは、その可能性は高くなる。それに地下水を飲用している地域も多い。これらのことを考えると荼毘に付すのが日本では相応しい方法ではないでしょうか。

 今は国際便でいろいろなものがすぐに送れる時代である。どうしても土葬がいいというイスラム教の方は、母国に遺体を送って埋葬すればいい。そのほうが亡くなられた方も先祖代々の土地で眠りにつけるのである。

 郷に入ったらそこの気候、風土、習慣、風習、ルールに従え。それが嫌なら「そんなせせこましいところはこっちから願い下げだぃ」と江戸っ子並みに啖呵を切って、さっさと出ていくまでのことでしょう。世界は広い。こんな湿っぽい国ではなくてカラリとした土地は山ほどある。そっちへ行って土葬してくだせえまし。

 そしてまた日本には、盆暗知事が増えたようですね。