脱線

 いや~、早朝からちょいとしたことを調べていて、3時間も費やしてしまった。

 それがね、今村翔吾『くらまし屋』(ハルキ文庫)の5巻「冬晴れの花嫁」を読んでいて、登場人物に松平武元(たけちか)という武士が登場したのである。上野国(こうずけのくに)舘林藩(たてばやしはん)五万四千石の主という記載があったので、「それなら詳細情報を得てから読むとさらにおもしろい」と思ってしまった。

 書庫から『寛政重修重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)』(全26巻)、『三百藩藩主人名事典』(全4巻)などを引っ張り出してきて調べ始めてしまった。

 これがいけなかった(苦笑)。

「武元」はすぐに見つかったんですよ。館林藩ということで、徳川綱吉はすぐに出てくる。綱吉が将軍になった後、長子の徳松が継ぐのだが、5歳で病没。25万石を2.4万石にされて、六代将軍の徳川家宣の弟の清武(きよたけ)が舘林の地を継ぐのだが、2.4万石になってしまう。六代家宣も短命に終わり、その遺命により2万石の増加で4.4万石にしてもらう。清武から家系では3代目(養子)が武元となる・・・。ここらでよせばよかった(笑)。

「武元」の実父は水戸家の分藩で・・・舘林藩は「武元」の前、2代が別家で治められ・・・とか、資料、文献の沼にはまってしまいました。その調査結果をここに並べてもおもしろくもなんともないので、今から拡げてしまった資料本を片付けで、出掛けることにします(やれやれ)。

 でも『くらまし屋』に歴史的人物が出てきたことで、この作品の厚みがぐっと増しましたぞ。そうそう田沼意次も、この巻に出てきます。