歴史は繰り返す

 岸田政権、自民党の混乱ぶりを見るにつけ、戦前の226事件以降の日本の国策の誤りを強く思い出す。

 ワシャは大東亜戦争について日本だけを一方的に「悪」とする史観に疑問を持っている。国際コミンテルンの暗躍、支那軍閥の動き、欧米の思惑、そして日本の軍官僚の無能さ・・・などが相まって日本を終戦へと向かわせた。

 とくに満州事変、515事件以降の国家を顧みない軍官僚の愚かしさは如何ばかりであろうか。

 今、次の読書会の課題図書、半藤一利『聖断』(PHP文庫)を読んでいるので、そういったことが思い起こされた。類書として『昭和天皇独白録』(文藝春秋)とか、伊藤之雄昭和天皇伝』(文藝春秋)、ハーバート・ビックス『昭和天皇』(講談社)、『昭和天皇100の言葉』(宝島社)、『昭和天皇実録』(東京書籍)も参考にしながら。

 でもね、一番解りやすかったのがコミックだった。

半藤一利原作・能條純一画『昭和天皇物語』(小学館

 このマンガは現在14巻まで出ているのだけれど、最新刊では、ノモンハンで戦闘が勃発し、第二次世界大戦が始まろうとするところに差し掛かっている。『聖断』だと第九章あたりである。そこまではマンガで理解できますよ。

 

 おっとまた話が脇道にそれた。

 軍官僚の無能さを諸々の書物を読んでいて強く感じたということなのだ。血気に逸る青年将校たちを止めるどころか、影で煽っていた陸軍官僚どもと同じ腐臭が、今の永田町や霞が関から漂ってくることが不気味だと言いたい。

 115以降、軍官僚らは己らの組織による軍独裁を目指した。その結果が悲劇の終戦であった。現在はというと、財務官僚らが無能な政治家を担いで、財務独裁を目論んでいる。

 子育て支援と言いながら、生まれたばかりの乳児からも一律で500円を徴するという意味の分からない政策を木偶に実行させようとしている。対外的にも愚策としか言いようのない外交を継続して、四方を核武装独裁国家に取り囲まれている。さらに、ヨーロッパが締め出しを始めている移民を、日本が一周遅れで受け入れていくというマヌケさ。

 ほとんど、客観的な情勢をまったく考慮せず太平洋戦争に突き進んでいった軍官僚に瓜二つの現在の財務官僚。戦前はサーベルの脅された各省が、戦後は予算というサーベルに脅されて、国益を損することばかりをやって憚らない。

 

 戦後、皇室は一切の政治に口を出されない。それは戦前からもそうだった。昭和天皇は御前会議でも、2度の例外を除き、ご自身の判断を示されることはなかった。昭和天皇は戦後まもなくこう仰られている。

「二・二六のときと、終戦のときと、この二回だけ、自分は立憲君主としての道を踏み間違えた」

 いえいえ、陛下がご聖断を下さなければ、無能な軍官僚に引きずられ、日本はさらに悲惨な状況に陥ったと思われます。極めて尊いご判断だと拝察申し上げます。

 ちょっと話が逸れるが(いつもですが)、日本人のことを思われ続けた昭和天皇の肖像を燃やし踏みつける展示を公費で許したバカ知事を、ワシャは心底軽蔑するものである。

 話を戻すが、今、総理大臣に、独走する財務官僚に上からモノを言える存在はいない。国民主権と言うけれど、この国民がムードや一部マスコミの喧伝に右往左往するのが関の山で、国民が昭和天皇の代わりを務めることは不可能と言っていい。

 226から88年を迎えようとしている。国政を担う政権はあの当時よりパッパラパー。当時は辛うじて鈴木貫太郎のような武士(もののふ)がいて、強い決断のできる昭和天皇がおられた。

 現在は制度が替わっていて、今上陛下に昭和天皇の役割を求めることはできない。ならばどうする?

 無能な宰相と、政治家でいたいだけの愚者と、国よりも己らの組織を優先する財務官僚では国が亡ぶぞ。