視察は楽し

 香川県、8つの市と9つの町で約93万の人口を有す。面積は都道府県の中で一番小さい。長野県の7分の1程度の県土に、長野県の半分の人が住んでいる。

 その規模の県を任されている県議会議員は、長野が57に対し香川は41と割合としては多い。長野を参考にして、面積から議員を算出するなら8人で済むわけだが、そんな因業なことは言わない。人口で考えれば29人程度になるから、ええい、大まけだ、30人にしておこう。

 面積も人口も香川県よりはるかに小さい基礎自治体が30人くらいの議員を有しているから、まぁ41人で了とするけれど、議員1人当たりの担当分は、その程度であることだけは確かだ。

 その連中が当初は8人も連れだって、地球の裏側までの大名旅行を計画した。その内の3人は「エッフェル姉さん」の件もあり、理由をつけて辞退をし、1人はお亡くなりになって参加できなかった。しかし、議長を含め4人の残りは、「どーしても行きたい」ということで、昨日、高松空港を出発した。これね。

香川県議らが南米北米へ出発 高額批判について議長「周りではぜひ行ってこいという話しか聞こえない」》

https://news.yahoo.co.jp/articles/3140b85b2e7af42f9682376d86d4381f6ed90b34

 担当する区域も狭いし、県民の数も少ないから、時間的な余裕があるんでしょうね。知事を筆頭に議長、県議、随行職員総勢9人が、移住者や現地の県人会と友好親善を図るため、地球の裏側まで飛んでいった。

 知事、議長だけで良くないですか?それに随行職員1人をつけて3人なら許容範囲だと思うが、県議3人、職員3人は要らないでしょう。

 このことを県民が問題にした。当然ですね。それに対する議長の発言がお粗末だ。

議長「一般の方々から見れば、確かに高いという気持ちはした。ただし、地球の裏側に行く。事務局の皆さんが苦労して安くしていただいた。僕の周りでは『ぜひ行ってやってこい』という話しか聞こえない。県の政策において、いろんな賛成反対ありますよ。その上でわれわれは、大局的な判断をしている」

 旅費が高額になっていることは理解しているようだ。ただし、「地球の裏側に行くから仕方ねえじゃないか」と開き直る。議会事務局が263万円を193万円にまで旅費を圧縮したことに感謝しているが、193万円という数字に、ダイエーの値付けを思い出した。

 そして議長は耳が遠いらしい。それに友好親善のレセプションに出席することが「県の政策」とは烏滸(おこ)がましい。テメエらの観光旅行もどきの出張旅費予算を通すのに「大局的」もクソもあるか!

議長「南米の皆さんに、本当にお疲れさまでしたと、香川県民も頑張ってますよと、これからも友好を深めていきましょうと(伝えたい)」

 そんなもの電報でも打っておけ。あるいは知事にメッセージを預けておけばいいわさ。

《現地県人会による記念式典に出席したり各国の大使館や総領事館などを訪問》するそうだが、そんなところを訪問して県政の何に役立てるつもりなのだろう。香川県民はこの視察に関する情報をしっかりと見届けなければなるまい。とくに3人の県議には、しっかりとした報告書を提出してもらって、県民に開示する必要がある。なにせ193万円もの旅費を負担するのは、県民の皆さんなのだから。

 もう、こういった昭和の残滓(ざんし)のような視察旅行はそろそろ止(や)めませんか。

 

 蛇足になるが、愛知県の某市では青森県八戸市で開催された「全国都市問題会議」に議員が大挙して出席をした。でね、某市は参加自治体の中でもっとも出席者の多い自治体になっていたという。

《八戸で全国都市問題会議開幕 1800人一堂に》

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1655178

 八戸に多人数で出かけても、その旅費に見合う情報収集はできない。観光旅行ではなく、取材と心得るなら、1か月前から八戸の関係文献を読み漁り、少なくともレポート数枚の取材メモを作っておく。それを手に八戸に出掛けなさいよ。そんな議員はいないと思うけど。

 あ、去年、長崎で実施した際には、1人そんな変なのがいたらしい(笑)。

 

 どちらにしても、1800人分の時間のムダ、経費のムダ、そんな予算があるなら、優秀な職員に旅費を与えて、調査・取材・研究をさせたほうが有効であることは間違いない。