「ふるさと納税」という愚策

 朝日新聞。今日の社説はいいではないか。ワシャでもほめるときは褒める。

ふるさと納税 根本から制度の再考を》

https://smart.asahi.com/v/article/DA3S15634021.php

 褒めているのに、ネット上ではこれだけしか見せてくれない(怒)。

《「ふるさと納税」のゆがんだ仕組みが、貴重な税収を失わせ続けている。政府は防衛費や子育て予算の財源確保に苦心しているが、不合理な制度を放置したままでは、負担増への理解は得られないだろう・・・》

 新聞紙で公開しているんだろうが。そもそも朝日新聞の社説など落書きみたいなものが多いんだからネットで無料公開すればいいじゃないか。それにワシャなんか値上げされても有料で購読している貴重な人なんだぞ(怒怒怒)。

 まあいいや。

 冒頭の《「ふるさと納税」のゆがんだ仕組み》は確かに「社説」氏の言う通りで、ワシャなんかは、さらに下品で下劣で下策だと思っている。

「社説」氏も書いているが《21年度に136市町村が、5割を超える経費をついやしてきたという》。つまり、本来は公に使われるはずの税金の半分が、そうではないところに流れていったということ。それでも多くの「ふるさと納税」を受け黒字になっている自治体は、「いいやんけ、オレの自治体さえ儲かっていれば」という考え方が下品だと言いたい。

 盆暗総務大臣が官僚の書いた答弁を読んで「寄付金のうち少なくとも半分以上が寄付先の地域のために活用されるべき」とか、なんとか発言していたが、寄付後に生じる経費は「半分以上」のカウントに計上しておらず、《これらを含めると、上位20自治体のうち13で経費率が5割を超える》ということらしい。

 これが下策と言わずして、なにが下策か。本来、「ふるさと納税」がなければ、元の自治体で100%公費として使えたものが、納税者に景品をぶら下げて、別の自治体に納税させ、全体の50%が公費として使えなくなっている。得をしているのは、景品に群がった納税者と、そのPRをしているネット会社、その景品を納品した業者だけで、行政の事務手続きも煩雑になり、その分の業務増は、それぞれの自治体が公費で賄っているんだぞ。

 ワシャの知っている自治体では、「ふるさと納税」で年間5億円のマイナスとなっている。「ふるさと納税」肯定派からは、「努力不足だ」という声も上がっているが、そもそも全国の納税者が注目する地元産品などめったにあるものではない。

「社説」氏は言う。

ふるさと納税は、返礼品を手に入れるために、自らが暮らす自治体の行政サービスにかかる費用負担の回避を認める制度だ。地方自治の精神を揺るがす仕組みというしかない。》

 そのとおり。

 導入当初の考え方はよかった。首都圏などに集中している税収の一部を疲弊している地方に移し替える制度として創設された。ただ泉佐野市などが煽った「返礼品競争」、これが激化することにより、無駄な税収が国民の前から消えていくことになった。

「社説」の最後にこうある。

《全国でみれば、ふるさと納税により、21年度だけで少なくとも4千億円近い税収が実質的に失われている。》

 本来、これは貧者救済に使えた公金である。それが高額納税者の口に消えたカニになり、米になり、フルーツになってしまった。納税者の納税額は1円も変わらずにね。

 ワシャは基本的にこんな愚策はさっさと撤廃したほうがいいと確信している。消えた4千億円をきっちりと交付税対象の自治体に回せばいいことなのだ。