中村屋

 昨日、御園座陽春花形歌舞伎夜の部に行ってきた。演目は「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」である。この演目、十八代勘三郎の十八番(おはこ)で平成2年以降6回、息子の六代目勘九郎が5回をつとめ、今や中村屋の家の芸と言っていい。

 ワシャの歌舞伎の本棚には上演の筋書が140冊あるんだけど、残念ながら「怪談乳房榎」の筋書は今回の冊子だけで、ということは過去に観ていなかったということになる。ただテレビで勘三郎のものを観てはいる。

 だけど、「大詰」の「角筈十二社大滝の場(つのはずじゅうにそうおおたきのば)」は、生を、猿之助一座で観たような気がするんだけど・・・。筋書巻末の過去の「上演記録」にないから、記憶違いかなぁ~。

 それはともかく、勘九郎の早変わりは見もので、昼の部七之助の「お染の七役」もおもしろかったが、勘九郎の熱演は圧巻だった。

 さらに当代勘九郎が、勘三郎によく似てきたんですね。これには当代が勘太郎と呼ばれていた頃から、観てきたオジサンにすると、涙が出るほどうれしい。

 歌舞伎役者としてはこれからという時期に亡くなった十八代勘三郎・・・それがまた目の前の舞台に立っているのだ。声、仕種、とぼけた表情、それぞれがまさに勘三郎なのだ。こいつぁ~たまんねぇ。

 一緒に行った歌舞伎仲間からは「通し狂言はおもしろい」という意見があった。確かに名場面の一場だけでなく、物語全体を掛けてくる「通し狂言」を観ることは意味がある。しかし、この「怪談乳房榎」は歌舞伎の演目の中でもエンターテイメント性が強いんですね。だから古典物の「通し狂言」はどうしても冗漫で解り難いものと言う評価につながるんだけど、そこはそれ、こういったものも楽しみながら古典の重厚さにも感動してほしいなぁと思うワルシャワなのであった。

 観劇後、御園座周辺で食事会(ワシャ的には一杯会)をやったんですが、ここでいただいた冷しきしめんが美味しゅうございました。これがまた酒に合うんですね。また立ち寄ってもいい店だった。

 あ~楽しかった。