夕べ、録画していた大相撲を観終わって、そのままテレビをつけていた。そしたらね、『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』をやっていて、仲蔵を中村勘九郎、染五郎を七之助、菊五郎を松也、四代目團十郎を市村正親、仲蔵の妻の岸を上白石萌音などなど、けっこう豪華な出演人だ。
歌舞伎ファンとしては、中村仲蔵の活躍を知っているだけに、これがどのように映像になっているのか、結局、最後まで観てしまいましたぞ。
歌舞伎に興味のない方には、どーでもいい話でしょうが、仲蔵は、狂言作者や周囲からのいじめに遭いながらも、裸一貫から這い上がりスターの座に昇りつめた名優なんですね。
「仮名手本忠臣蔵」の五段目「二つ玉の段」にしか出てこない地味で不格好な山賊、斧定九郎を、めっちゃ格好いい粋な実悪に替えて、江戸の庶民から大喝采を受けた。
江戸期に仲蔵が作り替えた定九郎を、令和の時代でも二枚目の歌舞伎俳優の当たり役として庶民から支持されている。
この仲蔵を勘九郎がみごとに演じていた。
さらに言うと、仲蔵の妻を演じた上白石萌音が見事だった。三味をつま弾きながら小唄のようなものを唄っていたけれど、かなり練習しなければあそこまでは弾けない。何かのステージで橋本環奈とWキャストを演って、演技力でダンチの差を見せつけていた。その片鱗がこのドラマでも見られた。この女優、今後が楽しみだ。
それにしても、仲蔵の時代以降、隆盛を極めた大歌舞伎だが、どうも平成の後半あたりから名優が彼岸の劇場に移っていき、令和の時代はやや役者不足の観が否めない。
勘九郎、七之助、松也、そして十三代目の團十郎には頑張ってもらいたいなぁ。いろいろな演劇が華やかで、大元の歌舞伎の影が薄くなっているけれど、もう一頑張りして、歌舞伎の凄さを見せつけてほしい。成田屋!中村屋!音羽屋!