凸凹商事の仕事で、今日、熱海に出張をしてきた。熱海日帰りである。熱海まで行って日帰りですぞ。社の規定で、熱海の距離だと日帰りしか認められない。それでも、行った価値はあったと思っている。
視察先は、ある民間会社で、熱海の活性化に寄与している。そのノウハウを学ぼうというわけである。
熱海銀座の裏通りにある古いビルの2階でレクチャーを受けた。講師がのっけにこう予防線を張った。
「だいたい視察にお見えになると、前の晩の疲れが出るんでしょうか、皆さん、居眠りをする方が多くて」
そう言われては、凸凹商事の名にかけて、居眠りなんか一人もさせんわい!
講師は、「レクチャーの途中でも質問して構わない」と言ってくれたので、質問を矢継ぎ早に繰り出して、講師もその対応に大忙しとなった。しかし、そのおかげでかなり密度の濃い話が聴けたわい。
わざわざ新幹線を使って熱海くんだりまでやってきているのだ。観光気分の視察ではない。真剣勝負なのである。ワシャは、持参した静岡県地図まで広げで、来街者についての質問を繰り広げた。
「地図まで持参して視察に来た人は初めてです」
と、講師は笑って言っていた。でも、時間制限があったにも関わらず、時間延長をして、真摯に質問に答えてくれていた。ありがとう。
午前中のレクチャーは昼までかかった。普通の視察なら、そこから昼飯ということになるのだろうが、ワシャは昼飯を食う時間も惜しい。ワシャと行動を共にした3人は、昼飯も食わずに熱海市役所に行った。
市の状況を知るのに、市役所というのは情報の宝庫と言っていい。そこか、あるいは図書館を訪問すれば、大方の情報は入手できる。
とくに情報コーナーや、広報の部署には無料の資料がやまと積んである。ワシャはそこで二十数点の資料をゲットした。さらに都市計画課に行く。都市計画図を購入するためである。これを見れば、熱海市がどういった町を造りたいのかが一目で解る。
「すいませ~ん、熱海市の都市計画図をくださ~い」
「はい、1枚、1500円です」
「ドッヒャー!」
ワシャはカウンターでひっくり返った。都市計画図が1枚ですぞ。ワシャの町なら2~300円といったところだろう。面積は、ワシャの町よりも熱海市のほうが小さいのである。しかし、都市計画図は1500円・・・。さすがに経費では落ちないので、書いませんでした。
市役所を出て、商店街の活性化が進みつつあるエリアを現地調査して、ようやく昼食にありついたのは午後2時を回った頃だった。
そそくさと食事を済ませて、3時までには熱海駅まで戻らなければならない。なんだかよく判らないが、視察は凸凹商事の最寄駅まで団体で戻ってきて、そこで解散をするというのがシキタリらしい。
ワシャはまだ調査がしたいのだが、先輩たちはもう帰りたがっている。ワシャが統制を乱すわけにもいかないので、しぶしぶ新幹線に乗って、なんと終業時には地元の駅に戻っていたのだ。そこでリーダーの挨拶があって解散と相成りましたとさ。調査を深めることよりも、団体行動が優先なんだね。ワシャは中学生か!