涼しくなりましたね

 今月号の『美術の窓』(生活の友社)の特集が「恐怖の表象」と題して、幽霊、お化け、怨霊、呪物の納涼企画なのである。表紙は平成耽美主義の山本タカト

https://www.artpedia.asia/takatoyamamoto/

の描く「幽霊図:凄涼たる夜半のこと」。URLの「アートペディア」に並んでいる作品と比べると慎ましいほどに清らかな白衣の幽霊がシャレコウベの向こうに佇んでいる。雑誌をパラパラとめくると、池永康晟(やすなり)の「草簾・噛む」とか、大竹彩奈び「夜の糸」とか、美しいけれど怖~い幽霊が並んでいる。いや~ぞくぞくしますぞ。

 怪談がらみの本もかなり持っている。『真景累ケ淵』(岩波文庫)、『牡丹燈籠』(岩波文庫)、『東海道四谷怪談』(白水社)はもちろんのこと、『四谷怪談地誌』(河出書房新社)、『江戸東京階段文学散歩』(角川選書)、『百鬼夜行の楽園 鶴屋南北の世界』(創元ライブラリ)から、水木しげる関連だけでも書棚3棚はありますぞ。京極夏彦荒俣宏で2棚、その他で2棚は詰まっている。

 その中でもずっと以前に買った「華音」という文芸アート雑誌が気に入っている。2007年Vol.7の特集が「怪談」で、表紙がまたいいんですね。絵師の天明屋尚

https://www.tagboat.com/products/list.php?

author_id=1110 の筆による「幽霊」である。この幽霊も清らかで美しい。長い髪で口元が隠れているので表情を知ることはできないが、覗いている目だけを見ても、ぞっとするほどの美女であろう。

 特集の中で今は幽霊の仲間になってしまった桂歌丸師匠が三遊亭圓朝の噺について語っており、そこも興味深いが、その後ろのページで「誌上落語」ということで、「真景累ケ淵」を語ってくれる。これが落語ファンのワルシャワとしてはうれしい。

 ううむ、真剣に「真景」を読んでいたら、ちょっと怖くなってきたので、今日はこのくらいにしておこう・・・。