今、名古屋中日劇場に、猿之助四十八撰「四谷怪談忠臣蔵」が掛かっている。もちろん歌舞伎のお仲間と一緒に出掛けましたぞ。
さて、今回の演目は「四谷怪談」「忠臣蔵」ということで、この二つを上演するとはなんと贅沢な。もちろん「忠臣蔵」も「四谷怪談」も歌舞伎の中でも名作中の名作と言っていい。日本人のまともな大人で、大石蔵之助やお岩さんを知らない人がいるだろうか。その二つが合体しているのである。こいつぁ見ないわけにはいきません。
結論から言うと、猿之助のいない「猿之助組」いわゆる「二十一世紀歌舞伎組」の創作歌舞伎である。大看板がいるわけではないので、それほど期待はしていなかったが、予想に反して面白かった。「忠臣蔵」にしても「四谷怪談」にしても、物語全編を3時間の上演時間の中に納めるのは無理である。だから、いいところをダイジェストにして、足りないところは口上で補って、うまくつないでいる。その中に猿之助お得意の宙乗りや本水(ほんすい:本物の水を舞台上で使うこと)、あるいは本物の火や煙などを使って観客を飽きさせない演出は見事だった。
(下に続く)