県の懸念

 愛知県某市で自治体の大きな式典があり、ちょいと義理があって顔を出した。どうせ退屈だろうと思っていたのだが、ところがどっこい、なかなかおもしろい式典だったのだ。

 1200人ほどのホールの舞台下手には某市の市長、議長、副市長、副議長、教育長が座っている。上手側に来賓として名誉市民、知事、県議会議長、国会議員、県会議員が居並ぶ。

 皆さん、やはり大きな式の舞台上ということもあって、それぞれ姿勢を正して緊張しているのが伝わってくる。ワシャはこのホールの舞台上で使われる椅子に座ったことがあるのだが、これが座り心地の悪い椅子なんですわ。それでも皆さん、真面目に式に臨んでいる・・・いないか・・・。

 式が始まって、のっけの市長式辞の最中に知事がごそごそと動き始めた。短い脚を伸ばして目を瞑って上を見ている。姿勢を正している来賓の中で一人だけ目立つ。「眠っているのか?」とも思ったが、そっくり返ったまま、右足を曲げ左足を伸ばして、目をシバシバしている。さらに前かがみになったり、背を伸ばしたり、屈伸運動をしているのかニャ?

 頭をポリポリ掻いたと思えば、髪を撫でつけてみたり、鼻をさわった直後にマスクを直したり。

 舞台上の他の人はみんなモーニングやスーツのボタンをしっかりと留めているのだけれど、知事だけがボタンを外しているので出っ張った腹がよく見えますぞ(笑)。

 さらに表彰式の最中に客席の5列目まで聞こえる大きな声で、隣の人に話しかけ、体を揺すって笑ったりしている。隣の人は迷惑そうな態なのだが、構わずベラベラと喋っている。

 極め付きは舞台上で立ちあがって、客席側に腹を出して、ズボンのベルトを締め直したのには驚いた。普通はやらない。すくなくとも会場にいる来場者に少しばかりの敬意を持っていれば絶対にやらない行動だ。

 居並ぶ市長、議長、国会議員、会場に集まっている市民に対し、微塵の敬意も持っていないことがよく見えた。この場で一番偉いんだろうね。少なくとも自分ではそう思っていることが丸見えにわかる。しかし、そう見えていることには本人が気づいていない。ある意味で悲劇だ。

 来賓挨拶で立ちあがったが、やはり落ち着きがない。演台でのお得意の挨拶(笑)も、ヘラヘラ笑いながら「子供のワクチン接種が進んでいないんですわ、シーシー」と、来場者をバカにしたような感じの早口で話し続ける。

 この人、基本的に落ち着きがない。今日はとくにそれが酷かった。ADHDではないだろうか。

 そんな観察をしていたら、いつもは退屈で仕方のない式典もあっという間だった。しかし、知事、大丈夫かいな。