市民といっしょに東京で苦痛を分かちたい

 昭和20年5月、昭和天皇の安全をはかるため、大本営長野市松代に移転する旨の進言を受けたときのお言葉である。

 同じ年の9月にマッカーサー元帥と会見した際には、こう仰られた。

「貴下は私について思うままになされてよい。貴下は私を絞首刑にしてもよい。しかし、私の国民を飢えさせないでほしい」

 昭和22年、戦後復興にがんばっている国民をねぎらうため、全国の巡行をされている。このスケジュールがかなり強行軍だったために、昭和天皇の健康を心配する声があがった。これに対して昭和天皇はこうお答えになられた。

「皆に会うのがうれしいので疲れも覚えない。子供たちの元気で無邪気な顔を見ると楽しい気がする。身体の調子もかえっていいくらいだから安心してほしい」

 昭和天皇に関しては、いろいろな本が出ているけれど、どの本を読んでも、昭和天皇の人柄がにじみ出ていて、あの時代に昭和天皇を戴いて本当によかったと思っている。