昨日の夕方、NHK名古屋の「まるっと!」という情報番組を見ていて、笑ってしまった。女子アナが豊橋駅前にできた「豊橋まちなか図書館」の内覧会に招かれて、「図書館でこんなにワクワクしたことは久しぶり」とはしゃいでいたのだ。
その女子アナが「今までにない内容」として挙げたのが以下である。
「カフェがある」
「明るい」
「館内で飲食ができる」
「音楽が流れている」
「子供の書棚の近くに子育ての本がある」
「図書館の真ん中に上映会や講演会のできるスペースがある」
「プログラミング、動画編集などができる」
「静かに読書を楽しみたい人には静かな個室も用意している」
おいお~い、NHK名古屋の取材班の皆さ~ん。上記のすべての内容を盛り込んだ図書館が、豊橋駅から西に特別快速で3つ目の駅前に5年前にできてまっせ。なんも目新しいものではない。
それに女性アナ、「蔵書は6万冊でたっぷりあります」と蔵書に太鼓判を押しているが、普通のオッサンの家にだって4万冊くらいの本は置いてあるし、特別快速3つ目の駅前図書館には50万冊の蔵書がありまっせ。その市の各公民館にも5~6万冊は配置してある。6万というのは図書館としては大した数ではない。
さらに女性アナ、「新たな豊橋市の試みに注目したいと感じました」と言う。だからさ、違うんだってば。「新たな試み」ではなく、すでに何年も前から実施している図書館はあるわけで、おそらく「豊橋まちなか図書館」もオープンに向けていろいろな図書館を視察し、最新事例を研究しているはずである。その中で、カフェを併設したり、講演会のできる場所をつくったり・・・そんなところは全国にいっぱいあるんだよね。
まず、NHKは自分たちが情報の最前線、最先端にいるんだという間違った自負を捨てて、謙虚になることだ。
「すごいすごいすごい、こんな最先端の図書館は見たことがございません!」と興奮しているアナウンサーがバカに見えまっせ。
もちろんこの女子アナの責ではなく、これを造った制作部だか何だか知らないが、そこの連中の無知によるものである。
持ち上げられている図書館長がやや気恥ずかしそうであったのは、現実的な状況を知っていたからかもしれない(笑)。
豊橋駅前に図書館ができるのはいいことで、それは慶賀なことである。ワシャはそのことにケチを付ける気はさらさらない。ケチを付けているのはNHKの取材力の弱さ、情報力の甘さである。
わずか快速電車で駅3つのところにある図書館のことも調べずして、というか知らずして、偉そうに図書館について語るな。
昨日の「虎ノ門ニュース」でジャーナリストで元東京新聞記者の長谷川幸洋さんが、昨今のメディア取材の脆弱化について語っている。その理由として「取材不足」を挙げ、さらになぜそうなるかというと「バカだから」と断じている。それが説得力があって笑える。笑いたい方は、「虎ノ門ニュース」の11月24日をご覧あれ。
それを見ると、NHKの中途半端な図書館報道の愚がよくわかる。