危機はバカをあぶり出す

 愛知県西尾市のワクチン優先事件は、副市長と担当部長、そして接種をねだったスギ薬局のバカさ加減を露呈した。しかし、バカは西尾市ばかりではなかった。

 今朝の朝日新聞社会面。《首長「優先接種」各地で》と言う見出しが出ている。似たようなネットニュースもありますぞ。

《埼玉で町長や職員100人が優先接種 医療従事者として》

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6393257

《埼玉県寄居(よりい)町の花輪利一郎町長(76)が「医療従事者等」として、新型コロナウイルスのワクチン接種を2回受けていたことが、町への取材でわかった。町によると、副町長、教育長も接種を2回受けていたほか、職員約100人が少なくとも1回は接種を受けている。

町によると、花輪町長は4月半ばに1回目、5月上旬に2回目の接種を受けたといい、担当者は「町長も実際に接種者の介助をしたりすることがあるので、医療従事者等に含められると判断した」と説明している。》

 なにを言っていやあがる。そもそも76歳のジジイなら「医療従事者枠」で打たなくても、高齢者枠で打てまんがな。担当者は「町長も接種者の介助をする」と言い訳をしているが、そんな首長はいないって!それに首長がそんなことをしている時点で町制は滞ってしまう。そもそも首長と医療従事者というものは機能が違うのである。見え透いた嘘を言っているんじゃないぞ。

 他にも、茨城県城里町長(42)、兵庫県神河町長(62)、兵庫県三田市長(69)、岐阜県下呂市長(63)。

 城里町長は若いのだが「自分は接種会場の設置者である。医療従事者に準ずる立場だ」と強弁している。おいおい、首長が公共施設の設置者は当たり前だ。小笠原諸島の都の施設の設置者は小池都知事であるのと同じようにね。接種会場の設置者であることを理由に「感染の懸念が高い、医療従事に支障が出る」など詭弁もはなはだしい。

 さらに言えば、首長というのは今もっとも感染がしにくい人間であろう。おそらく小さな市町でも市長室、町長室というのは広い。中にはサウナルームまであったりする。その特別室に出入できる人間は限られており、当然のことながらマスク着用で、ソーシャルディスタンスもしっかりと取れる。コロナが蔓延する現状では、大規模な集会や会議は限定されており、そういった場所での罹患も考えられない。それが市民に優先してワクチン接種をして何の意味があるだろう。

 前述の5人の首長は、どういう理由をつけようとも、自分が可愛かっただけと言っていい。そして気概のない人物だった。「住民を守る」という確固たる信念を持っていれば、自身はしっかりと感染対策をすることで、万一、自分の分があったとしてもそれを未接種の住民に廻すくらいの美学を持て。

「理由をつけてさ、特例で早く俺様の分を用意しろ」

 情けないわ!