ネトウヨ?

 コラムニストの勝谷誠彦さんが亡くなられた後も、勝谷さんのメールを毎日送ってもらっている。やはり勝谷さんの舌鋒鋭いメールと比べると、やや物足りないけれど、憲政史家の倉山満さんや、作家の東良美季さんの論説が楽しいので未だに読んでまんねん。

 1月30日が東良さんの番だった。題は《「誰がドナルド・トランプを支持するのか?》と題されたもので、本文を読むと東良さんが、トランプ氏に批判的なことが判る。

《僕も日本に於けるトランプ支持者というものがずっと理解できなかった》と言う。文筆家の古谷経衡氏の記事タイトルを引く。

《〈「市民権もないのに異様な肩入れ」なぜネット右翼はトランプ再選を信じ続けたのか「安倍ロス」が陰謀論の原動力に》

 そしてこう言う。

《トランプ支持者というのはグローバル化に乗り遅れた人、デジタル化についていけなかった人たち》であり、《しかしそれはあくまでアメリカの話じゃないか。それなのになぜ、彼にそこまで肩入れし熱狂する日本人がいるのか。》

 これを解明するために東良さんは、内田樹氏のブログを持ってくる。

http://blog.tatsuru.com/2020/12/30_1710.html

アメリカ大統領を総括する」というもので、これも読んだけれども、リベラル内田のブログでしかなかった。

 要するに、「アメリカは建国の時から『市民の自由』を重んじ、『市民の平等』は二の次だった。しかしコロナ禍にみまわれたアメリカ国民もようやく『医療の平等』など『社会的平等』の必要性に気がついた。『アメリカン・ドリームの体現者』であるトランプ氏は、社会的平等の実現とは喰い合わせが悪い」と言っている。

 これを根拠として《なぜ、彼にそこまで肩入れし熱狂する日本人がいるのか。》と疑問を呈している。

 いやいや、アメリカの話ではないんですよ。東良さんや古谷氏が「ネット右翼」とする日本人が、トランプ氏に肩入れするのは、「自由」と「平等」だけの対立ではないんですね。

 彼らがトランプ支持を表明している理由は、トランプ氏が「北朝鮮拉致被害者」に真摯に向き合ってくれたこと、あるいは台湾の問題に真っ向から取り組んでいること、ウイグルチベット内モンゴル、香港問題について支那共産党に厳しい態度を示しているからに他ならない。

 さらに東良さんは、高須クリニック高須克弥院長の名前を挙げ、さらに健康食品の「DHC」の創業者である古田会長の名前も出して、《頭のいい人、成功をおさめた人というのは、世の中の矛盾や事の動かなさにある種のイラ立ちを感じる傾向にある。》《日本のネトウヨとは多くが中高年の裕福な人々で、特に成功した中小企業経営者に多い》《彼らが発するのは常に「アンフェアだ」という主張である。》と断言する。

 流れからすると「ネトウヨ」を出してから、「高須先生」と「古田会長」を出してくると、なんとな~く「ニアリーイコール」と言っているような印象を受ける。印象操作?

 少なくとも高須先生の言説を追っていると、「ある種のイラ立ち」で行動を起こしているという火種の低いものではない。日本国をどうするのか、百年の大計に立って、行動をしているように見える。

 残念ながら、東良さん、古谷氏、内田氏と、高須先生がたとは考え方が違っている。違っているからといって、「ネトウヨ」と断じるのではなく、議論をしてみればいい。おそらく高須先生がたにシンパシーを感じている論客たちは必ず議論に応じてくれる。

 古谷氏にしろ、内田氏にしろ、それをやってからものを書くべきだろう。少なくとも、東良さんの利用している媒体は、つねに議論をしてきた勝谷誠彦さんが作ったものなのだから。

 

 てなことを書いているとワシャも「ネトウヨ」の範疇に入れられてしまうのかニャ(笑)。