25円の朝食

 東良美季(トーラミキ)さんの小説『猫の神様』を読み返している。以前、コラムニストの勝谷誠彦さんのイベントでお会いして、その折に、サインをもらった本である。物腰のやわらかな人だったことを覚えている。
 なんで急に引っ張りだしてきて読んでいるかというと、最近、勝谷さんの有料メルマガの「週報」をトーラさんが書いていて、それがおもしろく、もう少しトーラさんの文章に触れたいと思ったんですね。
 勝谷さんは《いま日本でもっとも「書ける男」》と絶賛しているが、『猫の神様』を読みなおして、確かにそう思う。
 トーラさん、6月に長年のフリーランスを中断し、会社勤めのアルバイトを始めたのだそうな。そのあたりの経過を書いた日記がおもしろい。
http://jogjob.exblog.jp/d2013-06-17/
 とくにワシャが好きなのは、7月5日の「食パン賛」である。
http://jogjob.exblog.jp/20464241/
 朝食に食べるトーストに関する考察で、トーラさんの生活の一端が垣間見えるようで、つい「クスッ」と笑ってしまった。

 昨日、所用で知多は半田市まで「ハンダマイク」……もとい「ハンドマイク」を持って出かけた。半田市で一騒ぎをして、その帰路のこと。
 衣浦港のヨットハーバーに差し掛かった時、同乗者が「ポルシェだ」と声を上げた。彼が指さす方向を見ると、白いポルシェのワゴンがハーバーの駐車場に停まっている。
「あんな車で港に乗りつけ、クルーザーに乗り換えてレジャーを楽しむ人間もいるんだ……」
 と、同乗者はうらやましそうにつぶやく。ワシャは「ふ〜ん」と思ったくらいで、全然うらやましくなかった。そもそも車は下駄だと思っているので、動けばいい。そんなものに1000万円も2000万円も出すのはアホだと思っている。それに船酔いをするので、クルーザーなんか乗りたくもない。
 価値観の問題なのである。ポルシェが好きで、クルーザーが好きな人がいてもいいし、25円のトーストの朝食に感動する人がいてもいい。
 ワシャ的には断然後者に親和性を感じる。