各紙はやはりぬるい

 昨日、各紙の「大村知事のリコール呼びかけ」報道状況をお伝えした。その後、ユーチューブに上がっていた1時間40分余の記者会見そのものを聴いた。これね。

《愛知県・大村知事のリコール呼びかけ 高須院長らが会見(2020年6月2日)》

https://www.youtube.com/watch?v=7bxs8jPHI4o

 音声が小さいので聴きにくいけれども、開会から閉会まですべてを聴いた。おもしろかった。圧巻は昨日の日記でもお知らせした共同通信の記者とのやりとりだった。昨日は音声だけだったので「女性」と書いたけれど、映像を確認すると「男性」でした。声の高い人で、ワシャには女性の声に聴こえてしまった。間違いを訂正しておきますね。

 そこもおもしろかったが、他の記者とのやりとりも興味深い。なにしろどの記者も、話を歪曲し、「河村市長と大村知事の感情のもつれに高須院長が割り込んできた」という図式を作りたいのが見え見えだった。

「愛知県民が納めた税金をあのような展示に注ぎ込んでいいのか」

 ここが問題なんだと、長時間にわたって説明しているにも関わらず、共同通信はこういう質問をする。

昭和天皇の写真に火をつけることにかなり皆さん問題視されていますよね。でも県の検証委員会では侮辱の意図はなかったと認定しているんですけれども、侮辱と受け止めているという理解でよろしいんでしょうか?」

 これに対して百田氏が一言のもとに斬り捨てる。

「はい、その通り。それで終わり」

 ところが冷静な有本さんがそこに割って入った。

「すいません、ちょっと私、答えさせていただいてよろしいでしょうか?今、ご質問をいただいた共同通信の記者の方はこの作品をご覧になっていますか?」

記者A「鑑賞しました」

有本「どのようにお感じですか?」

記者A「それをこの場で発言する必要があるのでしょうか?」

有本「ぜひ、参考までに聞かせていただきたいのですが、私、取材者でもありますので」

 記者、左手でマイクを持ち、右の手のひらを開いて胸の前に差し出すようにかざし、

記者A「う~ん・・・(絶句)」

 また名古屋テレビの記者も質問を投げかける。

記者B「名古屋テレビで地上波で昭和天皇の写真を燃やす映像を流す番組を作った。燃える映像というそれだけを見たら不快な思いをするかもわからないですけど、それに対する作者の意図というのを合せて伝えて、見る人に対してどう感じるか?いいものばかりではなく、悪いものもあってそれを判断するのが芸術じゃないかなと思うんですけど・・・」

 この意見に百田氏が割って入った。

百田「問題をすり替えないでください。そういう論議をしますとね、私が芸術点をやったとしましょう。そこで例えば、民族ヘイト、誹謗中傷をやったとして、それに対してアート論で喋るわけですか?違うでしょ。私は自分が不快だから言っているんじゃありません。あの作品が多くの日本人にとって日本国そのものを侮辱していると受け取る人がかなりいるということなんですよ」

有本「だからあなたたち、これが『自分たち(私たち)の好みに合わないから、私たちが大村さんを糾弾している』と言いたいの?この1時間40分かけて説明してきたことは、いったいなんだったの・・・と非常に空しくなっているんですよね」

 全編、不甲斐ない記者と5人のまともな人たちのやりとりがとてもおもしろく、「あいちトリエンナーレ 表現の不自由展」の何が問題で、大村知事の何が悪いのかがよく理解できる。

 そして新聞各紙が、この2時間弱の記者会見で、主催者側が口を酸っぱくしてまで言っていたことがまったく伝わっていないことが、昨日の各紙の紙面を見て痛感した。5人の識者が言ったこと、それがまったく読者には伝わらない。そりゃ原稿用紙1枚程度の文字数では伝わらないよね。まぁそもそも伝える気がないのだけれど。

 ぜひ、聴きにくいけれどユーチューブに当たってみてくだされ。あるいは「虎ノ門ニュース」の6月4日版の開始から10分くらいのところからご視聴していただいてもいいと思います。

 愛知県知事の解職運動、憲政史上初の「知事へのリコール」は、何が事実なのかを見極めて、きっちりと選択をしていきたいと感じている。