うつせみに結ぶ

 最近、『夏目友人帳』の劇場版最新作のDVDが出た。もちろんニャンコ先生に私淑するものとしては、ちゃんと見ておかなければニャンコ先生に失礼にあたるからね。今日のタイトルはその題である。

 

 物語のテーマは「人と人、あるいは人と妖(あやかし)との出会い、交流、別離とは何ぞや」というもの。主人公の夏目貴志の祖母のレイコのささやかな出会いから始まって、貴志と老女、レイコと若かりし頃の老女、老女とその息子、貴志とその息子などなど、いろいろな人やモノとの邂逅、心の通い合い、そして別れが、静かに紡がれていく。『夏目友人帳』のコアなファンからは、あまり評価は高くなかったようだが、ワシャ的には、かなり琴線を刺激されるいい作品だと感じた。

 題がいいよね。「うつせみに結ぶ」。これがいろいろなエピソードに関わってくる。「うつせみ」は「空蝉」であり「セミのぬけがら」でもある。「虚ろ」、あるいは「現身(うつしみ)」または「写し身」だったりする。

 所詮、人生なんて、一時の夢であり、虚仮である。妖は人より長く生きるとはいえ、それでも有限の時間の中を生きている。

 人の短い一生でも、多種多様な喜びや悲しみが充満している。いわんや長命の妖においてをや。

 この作品、「うつせみに結ぶ」は、生きることの儚さと、はかないからこそ、その輝きが強く印象に残るんだということを描いたいい作品となっている。

 とくに、ワシャの好きなニャンコ先生が3匹も出てくるんだから応えられまへん。

 結局、そこが良かったんで評価が高かったのかも(笑)。