ちょいと古いが、6月11日の朝日新聞のオピニオン欄。右肩の朝日一番押しの投稿が笑える。
「空母化で形骸化進む専守防衛」と題した東京都の77歳の男性の意見である。のっけに《自衛隊の護衛艦「いずも」が空母に改造される。それがどう運用されるか想像すると、危うさを感じる。》と言う。
あの~、ワシャは単なる船舶好きの素人なんですが、「いずも」はそもそも空母であり、それが運用されるとすれば、F35Bの母艦として、海洋での航空拠点として運用されるに決まっている。左翼思想というファンタジーに染め上げられた爺さんたちは、現実を直視できず、想像力だけが豊かですから。
この爺さん、台湾海峡有事を心配し、米軍がF35Bを「いずも」に搭載して、「発進させるのではないか?」と心配する。そして「それは海外派兵で憲法9条に違反する」と色めき立つ。でも、この爺さん、けっこう左巻きにしては、東アジア情勢を見極めていて、米中の南シナ海での紛争がシーレーン封鎖にいたり、アメリカ軍を攻撃する人民壊崩軍に攻撃を受けるアメリカ軍を守るための自衛隊が軍事行動をとると読んでいる。そのとおりだ。当然、そうなるだろうし、日本は台湾を守るアメリカ軍を支援せずして、日本の平和はありえない。ここまでは真っ当なのに、ここで突然狂ってしまう。洗脳のスイッチが入るのだ。
「これは海外派兵そのもので9条違反だろう」
と言い切ってしまう。嗚呼。
この手の左翼老人は、まず「9条」なのである。それを「9条教」と言う。どんな金科玉条であろうと、それを守って国が滅んでしまっては意味がない、ということをこの手の連中は理解できない。不幸と言えば不幸だ。
支那中国が台湾に侵攻すれば、それは中国共産党の自由主義社会への宣戦布告であって、放っておけば台湾は、チベット、ウイグルの二の舞になる。そして、台湾の自由主義者、民主主義者が根こそぎ虐殺されれば、次は日本なのだ。アメリカの影響がなくなって、東アジアが全体主義の一党独裁国家に、21世紀のナチスドイツとも言える中国共産党に支配されてしまうというところまで、想像力が及ばないのが左翼老人の悲しさである。
今朝の朝刊に香港のニュースが出ている。「逃亡犯条例」という中国共産党にだけ都合のいいルールが押し付けられた。どこが一国二制度だ。完全にファシズム国家の支那中国に香港は呑み込まれようとしている。
左翼老人は、こういった現実も見えない。日本国民をこういった暴虐から守るために「いずも」は日夜活動をしているのである。
ひとつ例を示したい。この「いずも」が日本海で不審船を発見したとする。その甲板には、拉致された日本人がいて、「助けて!」という何らかのサインを送ってきたとしよう。「いずも」あるいは、その伴走艦の護衛艦群は、その不審船を攻撃して停船させられるか?
これができない。これが平和憲法の「9条」のもつ呪いなのである。危機に瀕した日本人を助けるための発砲すらできない。なにが「9条違反だろう」だ、クソジジイ!
残念ながら、戦後のWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)に洗脳されて、そこから抜け出せない左巻きがまだまだ存在する。そのあたりは、森口朗『左翼老人』(扶桑社新書)という本に詳しい。
また、憲法9条の愚かさについては、福田恒存の『滅びゆく日本へ』(河出書房新社)に「日本国憲法」として項立てして書いてある。これが効かなければ、もう末期症状と言っていい。死ぬまでファンタジーの中にいろ。