「声」の特性

 一昨日の朝日新聞「声」欄の筆頭投稿が恐ろしい。大分県の80代の男性は「もうご免だ 戦争のできる国」といつもの朝日の主張を繰り返す。内容はお定まりの安倍首相批判で、「このまま 手をこまぬいていると、国家主義的な考え方の安倍首相は、特定秘密保護法の次は、集団的自衛権行使の容認、憲法第9条の改変をやって、戦争のできる国にしてしまう」だから「今こそこの国の針路を平和へと向けさせなければならない」のだそうな。
 ちょうどこの紙面の左下に、朝日新聞の古谷中国総局長の文章がある。1958年に毛沢東が指示したネズミ、スズメ、ハエ、カの「四害」撲滅運動を例に挙げて、人海戦術で国内からスズメを21億羽以上駆除した愚を「全体主義国家の持つメチャクチャさ」と表現している。そして「スズメの大量駆除」の愚行を諌めた科学者たちの墓は、後に文化大革命により破壊されたと書く。続けて古谷さんは「胡錦濤体制の最高指導者が取り調べを受けている」ことについて触れている。ついこの間、北朝鮮であった対抗勢力の粛清のようなことが、中国共産党の中でも起こっているらしい。
 冒頭の投稿者は、隣国がそういった国柄であるということを知らないのだろうかねぇ。
 1面2面は、アメリカの巡洋艦人民解放軍の空母群とのニアミスの話から、支那中国の海洋侵略の記事である。「中国の長い舌」と呼ばれる支那中国が勝手に引いた自国の海は、ボルネオ島からジャワ島まで伸びている。普通に考えれば、沿岸国がいくつも存在しているのだ。「いくらなんでもそんなに食い込むかよ!」と突っ込みを入れたくなる。こういった横暴な主張をしてくる体制が、東シナ海を狙っていることはご案内のとおりである。せっかく鳩山や管の呪縛から解放されたというのに、また針路を戻すなど愚の骨頂と言っていいだろう。
 ついこの間、全体国家の北朝鮮でなにが起こったのか、今、全体国家を支那中国を相手にして、日米、東南アジアの諸国がどれほど迷惑をこうむっているのか、冒頭の男性はご存じないんだね。

 昨日の朝日新聞「声」欄の筆頭投稿もおかしい。愛知県の70代の男性は「政府は、鬼畜米英ではなく中国・北朝鮮脅威論で国民のナショナリズムをあおって、軍拡に世論を導いている」と嘆いてみせる。いわゆる「軍靴の音聞こえる症候群」の皆さんだ。投稿者の方は、「安全保障の問題が、多数の国民の声を無視する形で決められていくことは民主主義の破滅であり、国会の自殺である」という。自民政権を選んだのは国民であり、反対に福島瑞穂たちが凋落していったのも国民の選択である。国民は「声」欄で大声をあげられる人ばかりではない。サイレントマジョリティが圧倒的なのである。なんでもかんでも「全体主義国家につながる」とか「民主主義の破壊だ」とか喚くけれど、隣国はまさに「民主主義のない全体主義国家」なのだよ。そこが核兵器を備えて軍備を着々と補強し、日本の領土を侵し始めている。日本どころか健全な国々の権益をも蹂躙し始めているじゃないか。そのあたりが上記の9条教団の方々には見えないのだろうか。

 さて、今朝の「声」欄の題は「戦闘機より地震対策を急げ」である。なんだか今日も楽しめそうな感じがする。災害対策を持ち出せば、「う〜む、これは戦闘機の配備より緊急性が高いかも」と思わされてしまう。でもね、防災も防衛もこれはどちらも重要なものであり、その両輪で国民の安全を確保していかなければいけないものなのである。投稿者は言う。
「近い将来に首都圏を襲う巨大地震が一層、現実味を帯びてきた。発生確率は今後30年間で70%だという。明日、起きてもおかしくはないのだ」
 あらららら、このフレーズどこかで聞いたような気がしますぞ。それも40年前から。今は地震学者の間ですら言われなくなった「東海地震」は東京大学の偉〜い先生様が40年前に「東海地方を襲う巨大地震が一層、現実味を帯びてきた。発生確率は今後30年間で70%。明日、起きてもおかしくはないのだ」来るはずの明日は一日一日と流れ、すでに40年の年月が経過した。まぁその時の東大教授はなにも嘘を言ったわけではない。地質学とか地震学という学問の中では、40年とか100年という時間は、言ってみれば昨日今日くらいの話で、そのことを国民にきちんと話しておかないからこういうことになった。
 首都圏直下型にしても同様で、現在の地震学では「明日」が本当に明日なのか、それとも100年後なのかは地震学者自身にだってわからないのが現状だ。
 でも、膨張する中国共産党の脅威は、今そこにある危機なのである。福島第一原発の汚染水の問題は何を差し置いてもやらなければならないことだろうが、漠然とした地震災害について「声」欄で声高に主張するのはいかがなものか。