東京

 フェルメールがワシャを呼んでいる。
 ということで、昨日の朝、新幹線で東京に。東京へは、もう何度も行きましたね。きみの住む美しみやこ〜♪
 平日早朝の新幹線は、スーツ姿の人が多い。お仕事ご苦労様です。それにしても、車内は静かだ。聴こえてくるのは空調の吹き出し音だけである。
 企業戦士たちのマナーはいい。途中下車していくサラリーマンたちは、席を立つ時に必ず背もたれを元に戻していく。こういったところに民族性のようなものが現われるんですね。
「チャンワーチョンワ―!」と騒々しいこともなく、静謐な車内では、隣の人と話をすることさえ、少し小声でしゃべらないと車内中に聞こえそうだ。

 午前11時に東京駅着、山手線で上野までいって、少し回り道だが「せごどん」にお会いして、そこから公園の黄葉を愛でながら、上野の森美術館へと足を運ぶ。
 今回のフェルメール展は、時間割をしているので、それでも行列はスムーズだ。さほど待つこともなく入館し、他の展示はスルーして一気にフェルメールに走りましたぞ。
 フェルメールについては、ここでは書ききれないので日を改めるが、見ごたえのある展示であった。光の魔術師フェルメールが天才であることを再認識した。

 午後2時、上野駅の南にある「上野藪そば」で遅い昼食をとることにした。路地を歩いていくと、およよ、藪そばの前に行列ができているではあ〜りませんか。若いカップルが暖簾の前に立っていたので、「ここが行列のおしりなの?」と尋ねると、言葉が通じない。支那人だった。それでもワシャの言っていることを理解してくれて、列の反対側を指さして教えてくれた。
 支那人と話している時に……というか、ジェスチャーをしている時に、ワシャの横を抜けて行列のおしりに、別のカップルが並んだ。当然、それでいい。だからワシャ達はその後ろに並ぼうとすると、若いカップルは自分たちの前を譲ってくれた。そのカップルも支那人だったが、なかなかしつけのできている若者だった。
 店の対応は、今ひとつだった。寒いので中に入って待とうとすると、「自動ドアが開いたままになるから外で待て」と言う。まあ正論なんだけど、2〜3人の滞留するスペースはある。もう少し言い方ってものがあるだろう、と自称江戸っ子のワルシャワは憤慨するのだった。
 藪そばにフェルメールより待たされて、ようやく通されたのは2階の席だった。日本人は6人、言葉の通じない外人が12人くらいといった割合か。
 外人たちはカタコトで注文をして、料理がくるとしきりに写真を撮ってインスタグラムにアップするんでしょうね。「上野の藪そばにやってきたニダ」とかね。
 それでも、彼らはそれほど騒ぐこともなく食事を済ませると出ていってしまった。ワシャはというとせいろと辛み大根に熱燗をもらっていましたので、ゆっくりと外人のマナーを観察することができました。彼らなら合格点を与えてもいいでしょう。そばの味が解ったかどうかは別として(笑)。
 支払いの時、最初に列の順番を譲ってくれた支那人カップルと一緒になった。ここでは彼らのほうが先である。だから支払いの状況をつぶさに見ていたのだが、おおお、やっぱりキャッシュレスなんですね。真っ黒なカードを出して、仲居さんがそれを携帯電話のでかい機械に当ててボタンをピポパと押すと、ブルーの紙が出てきて、そこに打たれた金額とレジの金額を客に照合させて、サインをもらっていた。わりと時間の掛かるものなんだな。ワシャらは席で金を集めていたので、それをレジのトレーに置くだけ。お釣りをもらっておしまいである。
 やはり現金のほうが決済は早い。これは間違いない。

 これから歌舞伎座に向かうのだけれど、そのあたりは明日のココロだ〜。